ソフトバンク近藤も取り入れたピラティスを「北海道中に広めたい」 札幌の「RefineBody」代表・田中宏明さん
心と体のバランスを整えられるエクササイズ
ピラティスをもっと身近に―。女優やタレント、アスリートも取り組むピラティスの人気は年々高まっている。心と体のバランスを整えられるエクササイズは、多くの効果が期待できる。札幌市内にあるピラティスパーソナルトレーニングスタジオ「RefineBody」の代表・田中宏明さん(36)は「SNSとかの影響もあって、(取り組む人は)増えていると思います」と話す。
2013年に開業
2013年に開業した「RefineBody」では、1回60分を基本にヨガマットでの運動や専用器具を使用したメニューを組み込んでいる。「一番は姿勢の改善ですかね。体の動き方が整う。姿勢が整うことで、肩こりや腰痛が緩和されることがあると思います」とピラティスの効果を説明した。
田中さんがピラティスと出会ったのは13年前。当時はトレーニングの指導などの活動をしていたが、先輩からピラティスを紹介してもらった。頭の上から足先まで、自分の体をコントロールできるようにするのが、ピラティスの基本の考え方。「本当に衝撃的でしたね」と振り返る。
姿勢が悪いからけがが起きる
それまでピラティスに触れたことはなかったが、トレーニング中に起こるけがなど疑問は多かった。その問題はすぐに解決。「トレーニングのためのいい準備ができていなかった。姿勢が悪いとか、体の動きが整っていない状態で闇雲に動くから、そういうことが起こることをピラティスを通して知ることができました」
その後、田中さんは機能解剖学なども学び、体の仕組みについて、視野が一気に広がった。アメリカで行われた人体解剖の研修にも2年掛かりで参加し「教科書とか機能解剖のアプリとかでは感じられない、理解できない部分はありました」と人体が骨になるまで、体の隅々を見尽くしたそう。
その〝目〟は人を見るだけで反応するようになった。「(人を)ぱっと見ると、自分の中ではスケルトンじゃないけど、筋肉はこうなっているなとか、関節の位置がこうだな、みたいなのは感じられる」。道行く人の姿勢などにも目が行ってしまう。「職業病で、歩き方も見ちゃいますね」と笑った。
昨季まで近藤健介のパーソナルトレーナーも
田中さんは一般の方のピラティス指導だけではなく、アスリートの手助けもしている。日本ハムからソフトバンクに移籍した近藤健介外野手(29)は腰痛に悩んでいた16年オフ、自ら探して訪れてくれた。そして、19年から昨季まではパーソナルトレーナーとして本格的にサポート。「突発的なけがはどうしても起こってしまうけど、慢性的な、特に腰痛に関してはほとんど訴えることがなくなりましたね」と効果は現れた。鹿児島・徳之島自主トレにも20年から同行し、ウオーミングアップや昼食後に、ピラティスを取り入れていた。
また、インストラクター養成にも尽力する。ここまで送り出したトレーナーは延べ200人。「北海道中にピラティスを広めたい、教えられる人を増やしたいっていう思いがあった。それはずっと続くと思います」と、ピラティスの伝道師として北海道中を駆け回る。「もっとたくさんの方々の身近にピラティスがある世の中になれたら」。田中さんは、ピラティス需要がさらに高まることを願った。
◆ピラティスとは ドイツのジョセフ・H・ピラティス氏が提案したエクササイズ。自身の考え方を「コントロロジー」と名付け、「全身の細かな筋肉と精神を自分自身でコントロールするための学問」と呼んだ。体の深層部にあるインナーマッスルを強化し、体全体のバランスを整えるメソッド。体と精神を調和させることで、柔軟性を向上させ、背筋の伸びた姿勢や、自由自在に動く肉体が身に付く。ストレスを解消し、疲労と慢性の痛みを減少させるなど、多くの効果が期待できる。
■プロフィール 田中 宏明(たなか・ひろあき) 1986年3月10日、札幌市生まれ。2011年、ピラティスのマスタートレーナーとしての活動を始め、2013年4月に「RefineBody」を開業。ジムでのレッスンのみならず、トレーナーの育成にも尽力。札幌、旭川、函館、帯広などで「ピラティス指導者養成コース」を開催している。家族は妻と1男1女。