【緊急特別企画】金子千尋特命コーチ独占インタビュー《後編》僕にしかできないコーチングを確立したい
《前編はこちらから》
第1クールまで春季キャンプに参加していた日本ハムの金子千尋特命コーチ(39)が、道新スポーツWEBのインタビューに応じた。《後編》ではエース・上沢直之投手(29)への愛のある助言、理想のコーチ像などを語った。
■エースの上沢はもっと自分のことだけを考えてもいい
ー昨年12月の引退会見にサプライズで駆け付けた上沢とは、公私共に仲が良いと聞きました
「上沢は人がいい。人当たりもいいし、周りを気にしすぎちゃうところがある。言葉が難しいですけど…自分のことだけを考えてもいいと思う。中心選手なので周りのことも気にしないといけないですけど、もうちょっと自己中でもいいのかなと思います。無理に周りを遠ざける必要はないですが、自分のことをやるときは話し掛けるなオーラを出してもいいと思う。頼られちゃうし、みんなから話し掛けられちゃうので、そのタイミングを使い分けたらと思います」
ー期待をしているからこその言葉
「誰もが分かっていると思いますけど、結果を残さないといけない、加えて相手に与える印象も大事になる。結果を残すのと、僕が勝手に思っているのは登板数とイニングを稼いでもらわないといけない。もうちょっと自分が、自分が、となってもいいのかなと思います」
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■北海道への移住は自分の人生の中で良い経験になった
ーその上沢は2020年に金子コーチの助言もあり、家族と共に札幌へ移住したそうですね
「どちらに住んでもダメではないんですけど、上沢は1軍で投げるのが当たり前の選手。それなら1軍の本拠地があるところに住んだ方が、家族は何とも言えないですけど、体の面でも良いと思いました。関東に住んで、ビジター球場に自分の車でいくのは結構負担。コロナの影響もあって、ビジターで相手側のウエートルームが借りられなくなった。その代わりにホテルにウエートルームができたので、コンディショニング的にも良かったです」
ー金子コーチ自身も、19年の日本ハム移籍時に家族で北海道へ引っ越した
「こんなこと言ったらあれですけど、こういう時じゃないと僕も札幌に住む選択肢がなかった。それは自分の人生の中で良い経験になりました。(移籍時に)勝手なイメージで関東に住むと思っていたのですが、球団の方に札幌に住む人もいると聞いた。こういう時じゃないと札幌に住む機会はない。家族は僕が現役をやっているうちは一緒に住むと言ってくれていたので、ついてきてくれることに関して問題は無かったです」
ー北海道での生活はいかがでしたか
「寒いのはわかっていたので驚かなかったですが、雪の量が想像以上で。でも、住んでしまえば、そんなに大変だなと思うことはなかったです」
ー22年には応援大使を務めた室蘭市に、プライベートで訪問したそうですね
「自分で行ける距離だったこともあります。応援大使をやるからには、知っておきたい。SNSで聞いて、おすすめされたところに行ってみたりしました。オフだったので、オフでしかできないことはやりました」
■レンジャーズのコーチ留学を控えるいまの心境
ー春季キャンプは第1クールで打ち上げて渡米。米大リーグ・レンジャーズのコーチ留学を控え、いまの心境はいかがですか
「ワクワクと楽しみだなという気持ちもあるんですけど、いまのところは不安の方が大きいです。向こうに行ってどういう流れなのか。一番は言葉ですね。通訳の人もついてくれるので不便はないと思いますけど、話せるにこしたことはないので、話せなくても、こういうことを言っているんだろうなと分かっていきたいです」
ー日米の違いもあるかと思います
「どれくらい違うんだろう…。日本でしかプレーしていないので、日本の野球しか知らないですけど、オリックス時代にはコリンズ監督の下でプレーしました。ちょっとだけアメリカンスタイルを経験している。そんなに戸惑いはないのかなと思っています」
ー最後に今後の抱負を聞かせてください
「極論を言うと、僕にしかできないコーチングを確立したい。ある程度、やらされることも選手は大事だと思うんですけど、やらされるより自分でやろうと思った方が意欲的になるし、体に染み込むことも早くなる。そこをうまく見つけてあげて、良いところは伸ばして、悪いところを少しでもなくせるように、見る目をしっかりつけたいなと思います」
(おわり)