5月で39歳のGK菅野 開幕スタメンへ熊本2次キャンプ駆け抜ける
■コンサドーレ熊本キャンプ(8日、大津町運動公園球技場)
プロ21年目 衰え感じさせないパフォーマンス
北海道コンサドーレ札幌が熊本での2次キャンプをスタートさせた。2部練習を行い、午前中は入念なストレッチで体をほぐした後、パスメニューやインターバル走などを実施。午後は3対3や11対11などの戦術練習を行った。
GK菅野孝憲(38)は沖縄での1次キャンプで順調に練習メニューを消化してきた。2020年シーズンから札幌のゴールマウスを守り続けるベテランが、熊本での最終調整を経て、広島との開幕戦に向かう。
「僕だけじゃなくて、みんなが」失点減らす意識共有
今年がプロ入り21年目のシーズンとなる菅野は、1月から約4週間続くキャンプを一度も離脱することなく走り続けている。この日も全てのメニューをこなし、5月に39歳を迎えるという事実を忘れさせるほどの軽快な動きを練習の中で披露していた。
年齢を感じさせない、というのは決して印象の面だけではない。昨年は自身初の大けがによる長期離脱を経験し、リーグ戦出場は27試合にとどまった。しかし、出場試合にクローズアップすると、10試合で無失点を達成。36試合に出場した21年シーズンの8試合を上回っているのだ。さらに平均失点は1.22失点から1.11に減少にしている。
完封試合が増えたことや自身の平均失点が減少したことには、「僕だけじゃなくて、みんなが〝どれだけイージーな失点を減らす〟とか、〝この時間帯の失点が多いよね〟ということを意識し始めて、(守備の)集中力が増したのかな」とチーム全員での成果であることを強調する。出場機会が減っていた22年はチーム総失点数が前年よりも多かった(21年50失点、22年55失点)ことを考えると、やはり札幌における菅野の貢献度は高いと言えるだろう。
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柏時代に対戦 元札幌戦士・上里が引退「強い敬意を、尊敬を」
世代としては1つ年下となるが、長きに渡って札幌で活躍したMF上里一将(36)が7日に現役引退を発表した。札幌の公式ツイッターがそれを伝えると、菅野も引用して「現役生活お疲れ様でした。これからの活躍も楽しみに、応援してるよ!」とエールを送った。
『上里と菅野』。となれば、忘れることのない衝撃的なゴールが思い出される。2010年4月11日、J2での柏戦(札幌ドーム)で上里が決めたセンターサークル付近から放った約40メートルの無回転FKだ。その時に柏のゴールを守っていたのが菅野だった。
印象に残るゴールではあったが、菅野にとっては「全く覚えてない。(FKを蹴ったのが)彼だったのも知らなかった」という。それでも「同世代の選手が引退していくことに寂しさもあるけれど、(今後が)楽しみでもあるし。誰にでも(引退は)訪れるし、僕にも訪れる。そういう意味で、とにかく全員に『選手生活お疲れ様でした』というのを共に戦った選手同士、強い敬意を、尊敬を抱きます」との思いをメッセージに込めた。
自身の現役生活は「まだ決めてないけど、もう近いんじゃ」
同世代の選手たちがスパイクを脱いでいく一方で、同僚のMF小野伸二(43)や、先日ポルトガル2部オリベイレンセへの移籍が発表されたキングカズことFW三浦知良(55)など、年上の現役選手も存在する。菅野自身は何歳まで現役を続けるのか-。「まだ決めてないですけど、もう近いんじゃないですかね。体とかの問題じゃなく、ある程度決めてる年は昔からあったので」と明かす。プロ選手なら誰にでもいつかは訪れる引退の日。具体的な年齢は口にしなかったが、その日が来るのは、もう、そう遠くないのかもしれない。
シーズン開幕までいよいよあと10日。この日の11対11の練習でも、簡単にゴールを割らせることなく、最後の砦として立ちはだかっていた。気になるのはGK具聖潤(28)と争う開幕スタメンの座だ。「選手が出る、出ないは監督が決めることで、選手が意識するところじゃない。それよりも目を向けなくちゃいけないのは、自分のコンディションを上げること。自分が試合に出て、どういうパフォーマンスをしなくちゃいけないかということ」。あくまで戦うのは自分自身。その戦いを乗り越えた先に、Eスタ(広島)のピッチに立つ背番号1の姿があるはずだ。