レバンガ小野寺HC代行「勝率5割は目指すべきポジション」B1初タクトで残留へ「規律」求める
佐古HC退任から一夜 B1残留が絶対条件
B1レバンガ北海道の佐古賢一HC(52)退任発表から一夜明けた8日、チームは次の宇都宮戦(11、12日)に向け、札幌国際大で練習した。現在リーグ全体で24クラブ中21位と厳しい状況だが、小野寺龍太郎HC代行(41)は、折茂武彦代表(52)が今回掲げた「B1残留」を絶対条件に難局を乗り越える。
メンバーには7日の発表当日に伝えられ、すぐに新体制がスタートした。この日は、宇都宮戦に向けてフォーメーションの確認作業などを重点的に行った。B1で初めてタクトを振るうことになった、小野寺HC代行。佐古前HCからは「『しっかりB1残留を達成するところに注力してほしい』ということは言われました。試合は待ってくれない。スケジュールも決まっている中で、残り24試合をこれからどう戦い抜いて、一つでも多く勝ち星を挙げていくことが大事。僕らとしてはB1残留は、もちろん当然。その中で勝率5割は、一つの目安として目指すべきポジション」。シーズン始動時に掲げた目標に少しでも近づけるように努力していく構えだ。
残り24試合「チームメートのために、どれだけ犠牲を払えるのか」
残り24試合でのHC交代。小野寺HC代行が重視するバスケットボール哲学は「規律」だ。「もっともっと上に行ける可能性のある選手たち。勤勉な選手たちが多いので、そういう勤勉さだったり規律だったりを、今まで以上に強調していく。自分のやりたいプレーや、スタッツを求めていくのではなく、チームメートのために、どれだけ犠牲を払えるのか。そういう部分をコートで表現できるチームをつくりたい」と着手していく。
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小野寺HC代行は宮城県出身。「東北の方は粘り強かったり、人情味がある。すごく温かい方も多いです。プロになると、あまり地域色っていうのはないのかなと思うけど、秋田さん、仙台さんのような、すごくディフェンスで粘り強いバスケをされるのは、東北の特長ではあるのかな。すごく刺激を受けることもありますし、僕自身も北海道で、今こそ、こういう粘り強さっていうのは見せていく時期。そういう泥臭い部分を必死に頑張りながら、全員で一つの目標に向かっていけるチームをつくっていければ」と、東北人魂を北の大地で発揮させる。
選手に広がる動揺 橋本「言葉にできない」桜井「こっちが申し訳ない」
チーム内には少なからず動揺は広がった。なかでも佐古HCを「家族のような存在」と慕っていたPG橋本竜馬(34)の口取りは重かった。「今のところ、自分が持ってる言葉の中では、言葉にできない。その思いを引き継ぐとか、そういったことができなかったから、佐古さんがヘッドコーチとして、ここに残れなかったと思う。それ以上の言葉を、今はちょっと僕は持ってないです。僕に佐古さんの話をさせるのは、少し難しいかなと思ってます。別の選手に聞いてもらった方がいい」と、苦しい胸の内を明かした。
レラカムイ時代にチームが消滅するなど、これまで数々の修羅場をくぐり抜けてきたSF桜井良太(39)。佐古HCからは「申し訳なかった」と、話があったという。「こっちが申し訳ないっていう気持ちを、僕だけじゃなくて、現場のみんなが持っていると思う。ただ、チームとして考えた時に、何としても1部に残らなければいけない状況の中で、今回こういう決断をしたということで、ここから勝ち星を重ねて1部に残留することを結果として残さなければいけない」と、気持ちを切り替えた。
松下、中野ら若手の奮起求める「外国人、竜馬に頼っているバスケでは、もう頭打ち」(桜井)
さらに、いまこそ若手の奮起が必要だと訴えた。桜井が指名したのは、PG松下裕汰(23)とSG/SF中野司(26)だ。「僕は長くいるし、(橋本)竜馬はチームのメインの選手。ただ、ここから勝っていくためには、プラスアルファの力が必要になってくる。外国人選手だったりとか、竜馬に頼っているバスケでは、もう頭打ち。その力を一番可能性として持っているのは、間違いなく若い選手。いくらフォーメーションをつくっても、シュートが打てないことは増えてくる。『そういう時に腹を決めてシュートを打てるかどうかだと思うよ』っていう話はしている。やっぱりそういう選手が増えてくればくるほど、大事な場面で勝てる可能性が増えてくる。危機感は感じてますけど、2部に落ちるのは、今のところ僕は全く考えてない。ここから一試合一試合、残り24試合、レバンガ、各選手個人としても伸びしろしかないって本気で思ってる。その伸びしろをしっかりと出して(シーズンが)終わった時に、佐古さんにしっかりと報告できるような試合をしていきたい」。HCの交代で、すぐに結果が出るかは未知数だが、マインドは変えられる。選手、スッタフが同じベクトルを向き、ブースターの応援に恥じない姿勢を示すことが、今一度、求められている。
■プロフィール 小野寺龍太郎(おのでら・りゅうたろう) 1981年12月9日生まれ、宮城県出身。小学4年時から競技を始める。2000年に気仙沼西高から、BJリーグ・さいたまブロンコスにマネジャー兼練習生として入団。01~03年までプレー。現役引退後は、米国のシアトルやワシントンなどに、最新のコーチング理論を求めて短期留学を繰り返した。13-14シーズンにさいたまブロンコスのアシスタントコーチ(AC)としてプロ指導者のキャリアをスタート。その後、信州、山形、島根などでACやHCを歴任し、20-21シーズンからレバンガ北海道でACを務めていた。178センチ、57キロ。