二刀流ルーキー矢沢「一番憧れている」楽天・松井裕から記憶に残るプロ〝1号〟!
■練習試合 日本ハム8-2楽天(14日、沖縄・金武町ベースボールスタジアム)※降雨コールド
代打で実戦初本塁打となる右越え2ラン「体がいい感じに反応して引っ張れた」
理想の投手からプロ〝1号〟! 日本ハムのドラフト1位ルーキー・矢沢宏太投手兼外野手(22)が14日、沖縄・金武で行われた楽天との練習試合に代打出場し、実戦初本塁打となる右越え2ランを放った。打った相手は、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表に選ばれている松井裕樹投手(27)。少年時代から「一番憧れている」と目標にしてきた左腕を攻略し、記憶に残る一日になった。
降りしきる雨が、祝福のシャワーに変わった。五回2死三塁で今川に代わって打席に立つと、目の前には尊敬する松井裕がいた。173センチの体を目いっぱい使い、カウント3-1からの5球目をフルスイング。「詰まった」と感じた打球は、右翼フェンスを軽々越えていった。
「入るとは思わなかった。ちょっと詰まったと思ったんですけど、フェンスを越えてくれたので良かったです。今はタイミングの取り方、体重移動の仕方を練習している。(相手は)いい投手だと分かっていたので、練習していることをやってみようと思って打席に立ちました。センター方向を意識しながら、体がいい感じに反応して引っ張れたのかなと思います」
「真っすぐが強くて三振が取れる。僕も松井選手のようなピッチャーになりたい」
かつて、甲子園で投げる5学年上の松井裕の姿に心を奪われた。「真っすぐが強くて三振が取れる。すごい良いピッチャーだな、かっこいいな、僕も松井選手のようなピッチャーになりたいなと思っていました。フォームをまねしていたこともあります」。同じ左腕として最も憧れる投手から、打者として〝プロ初アーチ〟をかっ飛ばした。
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予兆はあった。試合前のフリー打撃から、中堅方向へ大きな打球を何度も飛ばしていた。見守ったスカウト陣からも「小さい体で、よくあんなに飛ばせるよな」と感嘆の声が漏れていた。矢沢自身も「きょうはバッティング練習から感じが良かった。それを試合で出せたというのが良かった」と納得の表情だった。
ヒルマン元監督も〝シンジラレナーイ〟一発に「パワーに関しては目を見張るものがある」
今季からチームのコンサルタントを担うヒルマン元監督も大絶賛だ。この日からチームに合流し、ベンチに入って試合を観戦。「小柄な選手だけとすごい力強くてビックリしました。パワーに関しては目を見張るものがあった」と、矢沢の〝シンジラレナーイ〟一発に大きなポテンシャルを感じていた。
初めて臨む春季キャンプ。二刀流のドラフト1位として注目を集める中、緊張をほぐしてくれたのは「俊足」という共通点を持つ先輩だった。「五十幡さんと一番仲良くなった。ノリが合って話しやすくて、いろんなことを聞きやすい。ホテルで僕がご飯を食べていたら、前に来てくれて、ほんとどうでもいいような話をしています」。仲間の温かいサポートを受けながら、充実の日々を過ごしている。
「1本出た後の打席が大事。もっとアピールしていけるように頑張っていきたい」
憧れの松井を打っても、慢心は一切ない。相手が本調子でなかったことは、追いかけ続けてきた矢沢が一番分かっている。「まだシーズンに入っていないので。シーズンに入って良いボールが来た時に打てるように。1本出た後の打席が大事だと思うので、もっとアピールしていけるように頑張っていきたい」。23日のロッテ戦では〝投手デビュー〟も予定しているが、最初の目標は新球場開幕戦の「1番・右翼」。まずは打の刀で結果を残し、「3・30」のスタメンを勝ち取ってみせる。