【道スポ評論家が直撃】②伏見 なぜ最下位チームへ!? ~開幕前特別企画~
日本一捕手がFA加入 ようこそファイターズへ!
日本ハムOBで道新スポーツ評論家の岩本勉氏(51)と鶴岡慎也氏(41)が沖縄・名護で春季キャンプを行う選手たちと本音で語り合う特別企画。第2回は昨オフ、国内フリーエージェント(FA)権を行使し、故郷である北海道の球団へ移籍してきた伏見寅威捕手(32)。2年連続リーグ優勝を成し遂げた男は、なぜ最下位チームを選んだのかー。決断に至るまでの葛藤や決め手となった出来事を鶴岡氏に明かした。
鶴岡氏(以下、鶴)「伏見選手、ようこそファイターズへ」
伏見(以下、伏)「よろしくお願いします」
鶴「現役の時はグラウンドへ行くと同じ捕手だったこともあって、よくあいさつしてくれましたね。北海道出身と知っていたので『ファイターズに来たいでしょ?』なんて冗談を言っていたら、2年連続で優勝して大捕手になってFAでファイターズ入り。話していた通りになったね」
伏「さすがですね(笑)。千歳で生まれて幼稚園の時に江別へ引っ越して、家族は近くに帰ってくることを喜んでくれましたけど、ちょっとプレッシャーも感じています」
経験者にしか分からない苦悩 野球人生の大きな転機
鶴「FAの心境は経験した選手にしか分からない部分があるよね。僕も人ごとだと思っていたけど、いつのまにか自分が決断しないといけなくなった。決め手はあった?」
伏「鶴岡さんが話したように、本当に人ごとだと思っていて心の準備ができていかなかったです。いざ自分が権利を取ることになったら、何をして良いのか全く分からなかった。実際にチームを離れるイメージも湧かなかったので。日本シリーズにも出場して、考える時間が1週間しかなくて大変でした」
鶴「期間が決まっているから、まずは手を挙げてみようと」
伏「手を挙げてみました。決め手となったのはファイターズの方とお会いして『一緒にやりたい』と単刀直入に言ってもらえたことです。その言葉に背中を押されましたし、僕の決断を支えてくれました」
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13年にFAの鶴岡氏「北海道への愛着、残りたい気持ちはあった」
鶴「僕は(2013年に)最下位だったチームからホークスへ行ったけど、寅威は逆の立場だよね。2年連続リーグ優勝して去年は日本一。地元っていう理由はあると思うけど、なぜ一番強いチームから最下位のチームを選んだの」
伏「僕自身は連覇の場にいましたけど、その前のオリックスは最下位やBクラスが当たり前でした。ファイターズが最下位であることは気にならなかったですし、常勝チームから来た意識はないです。たまたま、この2年間は勝たせてもらっただけなので」
鶴「僕はファイターズで11年プレーしてFAした。北海道への愛着、残りたい気持ちがあったけど、立場を捨ててでも0からスタートすることを決めた。寅威も最後まで後ろ髪を引かれる思いだった?」
2年連続リーグVのオリから加入の伏見「新しい挑戦をしたい気持ちが勝った」
伏「最後まで残留の選択肢はありました。オリックスで10年。そこから先も残っていれば、周りは僕のことを知ってくれているので、きっとやりやすい環境だったと思います。関西も住みやすいし。それでも新しい挑戦をしてみたい気持ちが最終的には勝ちました。球団の方のプッシュがあって、自分の気持ちが固まりました」
鶴「理由は1つだけじゃない。こればかりは、その立場にならないと分からないよね。野球選手は稼げる期間が決まっているから、環境や契約は嫌らしい話じゃなくて大切なこと。いろいろなことが絡むよね」
伏「こんなに悩むんだ…って頭がおかしくなりそうでした。頑張らないといけないですね。鶴岡さんがFAした時の話を聞かせてください」
捕手の大先輩から貴重なアドバイス 再出発を期す道産子キャッチャー
鶴「期待されて入ったからには活躍しないとヤバいと思って、飛ばしすぎて失敗した。オープン戦は絶好調だったのに開幕してから一気に調子を崩してしまった。自分を実力以上に大きく見せようとしたことを後悔しているよ。今まで通りのペースを維持して、シーズンが始まってから状態を上げれば良いと思う」
伏「気を付けます。僕は鶴岡さんの捕手としてのスタイルがすごく好きでした。ただ構えるのではなくて『もっとこうだよ!』って表現ができる。投手に寄り添って、何をするか。そういう姿を素晴らしいと思っていました。いろいろ話してもらえてうれしいです」
鶴「オリックスは捕手が投手を育てているように、外からは見えていたよ。ファイターズでも、よろしくお願いします」
伏「はい、頑張ります!」