吉田輝星 キューバ打線を3回1安打無失点 先発ローテ入りへ猛アピール
■練習試合 キューバ2ー11日本ハム(17日、沖縄・タピックスタジアム名護)
練習試合に先発登板 直球最速148キロ&無四球と制球も安定
ローテ争い生き残った! 日本ハムの吉田輝星投手(22)が17日、沖縄・名護で行われたキューバ代表との練習試合に今季初先発し、3回1安打無失点と快投を見せた。最速148キロを計測した直球を軸に3奪三振をマーク。筋骨隆々のカリビアンたちを真っ向勝負でねじ伏せ、開幕ローテーション入りを猛アピールした。
昨年6月以来となる久しぶりの先発に胸が躍った。「真っさらなマウンドに立って、やっぱり僕は先発だなって感じました。マウンドに上がれること自体が楽しいですけど、先発の方が『よっしゃ、いくぞ』という気持ちになる」。キューバ打線には、グラシアル、デスパイネ、チームメートになるA・マルティネスら強打者がズラリ。それでも、ビビることなくストライクゾーンに直球を投げ込み、3回を無四球で内野安打1本のみに抑え込んだ。
成長を間近で見てきた加藤コーチ 「今は少しずつベースができてきた」
「建山コーチから、ファーストストライクをしっかり取って、自分の有利なカウントで進めることが課題だと言われている。それは、きょうはほとんどのバッターにできたので良かった。3球以内で追い込めているケースも多かった。あとは変化球でもう少しカウントをつくれれば、2巡目、3巡目も楽に投げられるので、そこは体が戻り次第、すぐブルペンに入ってしっかり練習したい」
吉田の投球を見守った加藤投手コーチは「最近のブルペンを見ていたら、フォームを考え過ぎているところがあったので、良い意味で想像と全然違った。ストライク先行もそうですけど、真っすぐのインコース、アウトコースの投げ分けもしっかりできていた。内容のある抑え方ができていた」と及第点を与えた。「入団当初はフォークボールも投げられなかったピッチャー。真っすぐも勢いだけだった。3年目くらいには1軍に上げずに、ひたすら真っすぐのコントロールを磨いたこともあった。今は少しずつベースができてきたのかな。ストレートのコントロールと落ちるボールに関しては、形にはなってきた」と、ルーキー時代から見続けてきた右腕の成長を感じていた。
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アピール継続中もまだまだ当落線上 熾烈な先発ローテ争い
今季はここまで実戦3試合に登板し、6回無失点。好投を続けているが、先発枠に食い込むのは容易ではない。現状、ローテは加藤貴、上沢、伊藤、ポンセが確定し、残り2枠だ。
建山投手コーチは吉田を当落線上とし、「彼の場合は去年、中継ぎで良い経験をして、今年再度、先発にチャレンジして、争っていく立場。ローテーション争いはかなり険しい。これからは上沢、加藤、ポンセが(実戦で)投げ始めてイニングも伸びていくので、チャンスは減る。3月中旬くらいになったら当落線上のピッチャーは見切らないといけない。一戦一戦が勝負。(ライバルたちの中で)突き抜けないと、やっぱり『じゃあ、誰々でいこう』とはならないんで。突き抜けた者勝ちです」とハッパをかけた。
昨季の悔しさと経験は野球人生の糧 リラックス法も確立
4年目の昨季は先発のチャンスこそあったが、生かせず中継ぎに回った。「去年は悔しかったです」と振り返るが、ただでは転ばない反骨心も持ち合わせている。「先発に失敗した後は、また自分の持ち味を出しながら、点差が開いている時はスライダーやカーブを使ったりてみたり、1イニングの中でいろいろやってきた。それがちょっとずつ今年につながってきている。それでカーブもだいぶ去年より良くなりました」。1年間リリーフを務めた経験は、今後のプロ野球人生の貴重な財産だ。
春季キャンプ中のリラックス法は睡眠と音楽。毎日午後9時には就寝し、休日には昼寝もする。昼寝前には伊藤由奈の「Precious」やTWICE、BoA、YOASOBIなど、女性ボーカルの「優しい歌」を聞くのがルーティン。「寝る前にEXILEとか聞いちゃうと、なんか違う。たぎる歌は眠れなくなっちゃうので。夜寝る時は風呂に入って、だいぶ涼んでから気持ちいい感じで布団に入るのがコツです」。過酷な競争のさなかで工夫をこらし、オンとオフの切り替えを大事にしている。
〝逆転〟での先発枠ゲットに意欲 「先発できるように調整していきたい」
次回登板は中継ぎになる見込みだが、約60球がめど。先発調整の一環となる。「対戦するバッターもこれからだんだん打席が増えてきて、シーズンに向かっていくと思う。体の疲れはあまりないので、しっかり投げ込みをして、ストレートも変化球も精度を高めていきたい。投げ終わりのバランスが少し悪いかなと感じたので、キャッチボールから意識して、もっと自分らしいピッチングができるように、先発できるように調整していきたい 」。下馬評が低いところから駆け上がる方が性に合うタイプ。ライバルたちを抜き去り、狭き門に滑り込んでみせる。