玉井 背番「19」デビュー 1回パーフェクトも「あまり似合ってないなと思う」
■練習試合 中日4ー4日本ハム(18日、沖縄・タピックスタジアム名護)
3番手で1回を3者凡退 「しっかり3人で帰って来られたことは良かった」
「19」デビュー戦で3人ピシャリ! 日本ハムの玉井大翔投手(30)が18日、沖縄・名護で行われた中日との練習試合で今季実戦初登板し、1回を3者凡退に抑えた。昨季限りで現役を引退した金子千尋特命コーチ(39)から背番号19を受け継ぎ、最初のマウンド。初めてバッテリーを組んだ伏見寅威捕手(32)と息を合わせ、上々の滑り出しを見せた。
偉大な先輩に恥じない堂々の19番初実戦だった。1点リードの五回から宮西の後を受けて3番手で登場。先頭の木下にはいきなり3球連続ボールで「だいぶ慌てました」と動揺したが、プロ6年間で278試合の経験を積んだ道産子は崩れなかった。落ち着いてフルカウントまで持ち込み、最後は投ゴロ。リズムに乗ると、後続も完璧に封じ込んだ。
「無事にしっかり1イニング投げられたことはすごく自分の中でも大きいですし、しっかり3人で帰って来られたことは良かったかな。今年初登板でバタバタした部分があったので、先頭の入りの部分をしっかりと、1球目から自分の球を投げられるようにしたいと思います」
伏見と道産子バッテリー形成 目からうろこの〝外カット〟
オリックスからFAで加入した伏見と初めてコンビを組んだ。2学年上の女房役は、同じ北海道出身だ。高校時代は「僕らの世代はみんなが(伏見を)知っていた。向こうはバリバリの注目選手で、僕は(チームの)3番手」と雲の上の存在だったが、プロの舞台で共闘することとなり「まさか組むことになるとは思っていなかった。うれしいです。こういうことがあるんだな」と感慨にふけった。
新たな女房役が、固定観念を打ち破ってくれた。これまで、左打者の外角へのカットボールは「自分の中で(コースに)投げ切れないと危ないボールという感覚があった。少しでもリスクが高いボールは投げたくなかった」と一切使ってこなかった。しかし、1死で溝脇と対戦した際、カウント1ー2から迷うことなく〝外カット〟を要求された。
「投げてみよう」と意を決して腕を振り、結果は空振り三振。「良い感じにハマった」と手応えをつかんだ。降板後には伏見に考え方を聞きに行き「『ああいう球を投げたの初めてだったので』と言ったら『絶対投げた方が良いよ』と言ってくれた。バッターは追い込まれてからフォークの意識があるから、(外のカットボールが)甘い球でも打ち取れると。自分の中で新しい発見だった」と目からうろこが落ちた。
昨季とは雲泥の差 柔軟性を意識したトレーニングが奏功
昨季の春季キャンプは加藤投手コーチから「散々だった」と言われるほど状態が悪かった。同じ失敗を繰り返さないため、今年は柔軟性に着目して重点的にトレーニングを行ってきた。「ストレッチを意識的に増やして、丁寧にやっている。普通の動かないものと、動きながらのエクササイズ系のものもあって、毎日1時間ぐらいですね」。今季初マウンドで効果を実感し「去年のこの時期よりは体が動いて、良い感じで投げられている。この時期でも可動域が広がっているので、そういう部分もいいのかな」と柔らかい笑顔を見せた。
まずは開幕戦に照準 新背番号19には「似合うようになってくれば」
照準はもちろん、3月30日。エスコンフィールドの開幕戦だ。「目標はしっかり開幕のメンバーに入ること」と意気込んだ。超満員の新球場でマウンドに立つ緊張感を想像し「投げたくないような」ともらしつつ、「でもやっぱ投げたら名前残りますもんね。そういう意味では投げたい」と先発を務める加藤貴のリリーフにも名乗りを上げた。
背番号19は「あまり似合っていないなとは思います。周りからも違和感があると言われる」と、まだしっくり来ていない。「似合うようになってくればいいですけど。なるのかな?って感じです。前の人が強すぎるので。徐々に自分のものにしていきたい」。背番号が変わっても、やるべきことは変わらない。玉井らしく一歩ずつ前進を続け、金子の背中を追いかけ続ける。