二刀流ルーキー矢沢 実戦初タイムリー含む3安打 開幕戦の相手・楽天と好相性
■練習試合 楽天4ー8日本ハム(19日、沖縄・タピックスタジアム名護)
「2番・DH」でスタメン出場 逆転勝利を呼び込むチーム初打点
鮮やか〝猛打賞〟! 日本ハムのドラフト1位ルーキー・矢沢宏太投手兼外野手(22)が19日、沖縄・名護で行われた楽天との練習試合に「2番・DH」で先発し、実戦初適時打を含む3打数3安打1打点と躍動した。ここまで対外試合は3試合に出場し、6打数5安打1本塁打3打点。その全てが楽天戦だ。開幕カードで戦う相手に強烈なインパクトを与えている。
打者・矢沢が大暴れだ。一、三回に右前打を放つと、締めは4点を追う四回。2死一、二塁の好機で打席に立ち、カウント1ー0から相手先発・内間の内角直球を右手1本で華麗にさばいた。鋭い打球が一塁手の頭上を越え、この日のチーム初打点をマーク。「変化球を頭に入れていたんですけど、真っすぐに手が出てしまったっていう感じ。自分が理想とするスイングではなかったけど、(直球を)意識していない中で反応することができたのは良かった」と振り返った。
対楽天6打数5安打3打点 松井裕から柵越えも
〝本番〟を想定して臨んだ一戦だった。相手はエスコンフィールドで開幕ゲームを戦う楽天。今季は試合前時点ですでに2度、対戦しており「きょうも剛さん(松本剛)がミーティングで『1勝1敗だと思って、勝ちにいこう』っていう話をしていた。みんな(相手を)意識していると思います」と勝利にこだわった。0ー4と序盤にリードを奪われたが、矢沢がバットで反撃ののろしを上げ、チームは逆転勝ち。「3・30」へ大きな弾みをつけた。
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12日の同戦では対外試合初安打をマーク。14日には「一番憧れる投手」の日本代表・松井裕樹から豪快な右越え2ランを放つなど、犬鷲キラーぶりを見せつけている。「相手チームというより自分のチームに、楽天戦で打っているというのはいいアピールになったと思います」と胸を張った。
1番での起用も選択肢 八木コーチも高評価「足が速くてバットが振れる」
八木打撃コーチは矢沢の打席での「対応力」を高く評価。「考え方、作戦の指導はしますけど、打ち方は一切教えていない」とポテンシャルを信じ、結果が出ている間は打撃指導を控える方針だ。現状は2番での起用が多いが「1番も面白い。監督との話し合いだけど、1番を打ってもらうことも考えています。足も速くて、バットが振れることを考えれば、上位(打線)で何とかという選手だと思います」とリードオフマンとしての活躍にも期待をかけた。
春季キャンプ初日、2月1日の紅白戦から8打席、安打が出なかった。そこからタイミングの取り方、体重移動の仕方などを〝プロ仕様〟に修正し、急成長を見せている。「本当に最初の方は全く打てなかったので、やっぱり難しいかなって感じたんですけど、実戦の回数を重ねていってだんだん良くなってきた。タメをつくって体重移動をして、踏み込んだ足でも自分の中では少し間をつくっている。それで変化球でも対応できているかな」と手応えを口にした。
日々進化の22歳 反省も忘れない 照準は開幕スタメン
3安打の大活躍にも、決して満足はしていない。「打球方向がきょうはライトだけだったので、しっかりいろんな方向にも打てるように」と、試合後には志願してグラウンドに居残り、小雨が降る中で打撃練習を行った。「練習ではずっと逆方向を意識してやってました。今はカウントが有利な時に、真っすぐで(ストライクを)取りに来た球に差し込まれてファウルになっている。公式戦が始まれば、そんなに甘い球も来ないと思うので、そこをしっかりと一発で捉えられるようにしたい」と意欲的だ。
今後は21日の中日戦で野手としてベンチ入りし、23日のロッテ戦で投手デビューを予定している。「まだ自分でスタメンを勝ち取っているわけではない。ただ(新庄監督が)見てみたいとか、そういうふうに出させてもらっていると思っている。自分がしっかりできることをやって、開幕1軍、スタメンを獲れるようにこれからも頑張っていきたい」。二刀流ルーキーの本領発揮はこれからだ。