男子モーグル村田優太郎が世界選手権初出場 初陣Vで姉・愛里咲超えだ
2月25、26日、ジョージアで開催
フリースタイルスキー・モーグルの村田優太郎(24、北翔大)が、2月25、26日にバクリアニ(ジョージア)で行われる世界選手権に初出場する。今季からW杯に本格参戦し、今月4日に米国・ディアバレーで行われた26年冬季五輪新種目のデュアルモーグル(DM)で自己最高の4位に入り、初切符をつかんだ。姉・愛里咲さん(32)は、2010年バンクーバーから3大会連続で五輪に出場し、13年世界選手権DM5位。偉大な姉超えへ、初陣初優勝を狙う。
北九州から愛里咲さんを追いかけ、北海道にスキー留学して9年。いよいよ同じスタートラインに立つ。初戦の25日はモーグル(MO)、26日がDM。「少しずつ近づいていけてる。お姉ちゃんの一番いい成績よりも、僕がいい成績を出せるように、ちょっと競ってます。2試合とも優勝したい」。競技を始めるきっかけとなった存在を成長した弟が追い抜き、吉報を届ける。
北京五輪MO4位のキャベット撃破
世界選手権出場の代償は少なくなかった。2日のW杯第8戦MOで初の1桁順位となる8位に入ると、4日の第9戦DMでは、ラウンド16で北京五輪MO4位のベンジャミン・キャベット(29)を撃破。「すごい強敵だなって感じてたけど、結構調子が良くて、挑戦という気持ちでやったら勝つことができました」と勢いに乗り、準決勝まで進んだ。
ところが、初の準決勝で、第1エアと第2エアの間のセクションで痛恨の転倒。予選から数えて5本目。「ワールドカップでそこまで上がったのが初めての経験だったので、疲労もあって足が動かなかった」。転倒時に右肘を痛めて3位決定戦を欠場。失意を抱えて9日にチームを離れ緊急帰国した。
札幌の病院で検査した結果は「内側側副靱帯(じんたい)損傷」。1~2週間の安静とされたが、15日には練習拠点のさっぽろばんけいスキー場で復帰した。「肘もけがしていて不安はあります。でも自分のできる限りのことをやっていきたい」。19年に右膝前十字靱帯を断裂するなど、数々のけがを乗り越えてきた村田にとっては千載一遇のこのチャンス。なんとしても逃すわけにいかない。
修士論文は北京五輪のタイムと得点分析
現在、北翔大大学院の生涯スポーツ学研究科2年。修士論文のテーマに選んだのは北京五輪のタイムと得点分析。採点競技のモーグルは100点満点中、ターン60%、エアとスピードが20%ずつ。「やっぱりターンが重要っていう風にみんな考えると思うんですけど、僕の研究では、ターンもエアも重要っていうのがわかった」。
研究の結果、世界選手権の第1エアはフルツイスト、第2エアはコーク720から着地後のスピードを考え、バックフリップに変更する予定。「ファーストエアからの入りを特に重要視している。そこでスムーズに入ることができれば、ジャッジも攻めた滑りと捉えてくれる。ディアバレーではそこがうまくはまったので、世界選手権でも意識してやっていきたい」。多くの困難を乗り越えやっとつかんだ大舞台。アクセル全開で最高の滑りを披露する。