【道スポ評論家が直撃】③清宮 村上に抱く感情、WBCへの思いは!?~開幕前特別企画~
日本ハムOBで道新スポーツ評論家の岩本勉氏(51)と鶴岡慎也氏(41)が沖縄・名護で春季キャンプを行う選手たちの本音に迫る特別企画。第3回は試練を乗り越えながら、主砲として本格化してきた清宮幸太郎内野手(23)が登場。鳴り物入りでプロ入りしたスラッガーは、6年目のシーズンを迎える。避けては通れない同級生ライバル、ヤクルト・村上宗隆内野手(23)に対して抱く感情は―。WBCに臨む日本代表をどう見ているか―。岩本氏が、直撃した。
今年の新庄監督は去年と明らかに違う 今年はみんな本気になってます
岩本氏(以下、岩)「幸ちゃん、直球インタビュー、よろしくお願いします。同学年の新庄監督ですが、去年は『楽しもう』と発言していた。今年はキャンプ中も遠くから静観するシーンが多い。どんな印象?」
清宮(以下、清)「去年とは明らかに違うと思います。練習試合の戦い方もそうです。打順を固定して戦ったり。それはボスから何も言われなくても僕たちは感じている部分がある。今年はみんな本気になってやっていると思います」
岩「サインプレー中の『少しボールが高い』という言葉だけでもピリピリする」
清「ボスから楽しんでやってくれと言われています。ただ、少し前に記事で読んだのですが(ミスが出た試合後に)『コーチに怒ってしまうから何も言わない』とお話しされていた。そういう(厳しい姿勢で野球と向き合う)ことなのかな?と勝手に思っていました」
サムスン戦で進塁打のサインが弾丸ライナーのホームラン ちょっとした引き出しに
岩「一つ聞きたい。2月9日のサムスン戦のホームラン。僕が解説をしていて、打った後、一塁ベースを回ったときに『見てください、この表情。打っても一喜一憂しない。成長した清宮幸太郎がいます』と話した。でも違った事情があったのかな?」
清「ふふふ(苦笑)。進塁打のサインが出ていましたね」
岩「右方向に打とうとしていた」
清「そうです。ゴロをしっかり転がしてランナーを進めようと」
岩「ところが結果は」
清「ホームまで帰っちゃいました…」
岩「弾丸ライナー(笑)。しっかり右方向に打とうと思ったらホームランになった。あの打席で何かをつかんだのでは」
清「一つのテクニックになるのかなとは思います。調子が悪くなったときに、ちょっとした引き出しになるとうれしいです」
ヤクルトの村上に、このまま負ける気はサラサラないです 超えます!
岩「少し話題は変わるけど、いろんな人から比較される同学年の打者がヤクルトにいる。ほかの選手の質問をされるのが嫌いなのは分かる。でもあえて聞かせてほしい。刺激にはなっている?」
清「もちろんです。高校の時から交流があって年に1回は練習試合をしていた。高校の時から彼のすごさを知っています。やっぱり同級生なので比較されるのは当たり前。同じドラフト1位で意識しないといえば嘘になる。もちろん、このまま負ける気はサラサラないです。彼はすごいですし、3冠王なんてなかなかできることではない。もし今年、少しあいつが調子悪くて、僕のホームラン数が多くなったら、(清宮自身の評価が)コロッと変わる世界だと思います」
岩「幸ちゃん、遠慮しないで(笑)。有言実行で、強く言っていいよ」
清「なるほど。そんなふうに聞こえますね。(村上を)超えます!」
WBC日本代表には同級生も年下もいる もう僕たちが引っ張る世代
岩「もうすぐWBCが始まる。村上も含めて今回のメンバーは決まっているけど、この先、世界で活躍したい思いはある?」
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清「もちろんです。(現代表に)同級生も年下もいます。もう僕たちの世代が…僕たちが(野球界を)引っ張る年なんだと思います。これまでは、あまりそういうことを感じていなかったですけど」
岩「分かるわ~。僕も同学年の新庄さんが監督をやって。(選手とは違う形で)野球界をリードしたい気持ちはある。幸ちゃんは、WBCで世界一に輝く場に立っていたい?」
清「2年前、東京五輪を見ていたときも、すごくいいなと思いました。日本を背負っているなと。そのとき、僕はファームにいて、仙台で見ていました。俺、何やってるんだろう?と。ネガティブな意味ではなく、すごい刺激を受けました。まだまだいけるなと、元気をもらって。負けていられないですよね」
昨年は大卒の同学年が入団 こっちはプロで4年やってきた意地があった
岩「去年は18本のホームランを打って55打点。チームで最多129試合に出場。5年目のシーズンに大卒の同学年が入ってきて競う中で違う意識は生まれた?」
清「ありましたね。その4年間がムダだったと言われるのがすごく嫌でした。こっちはプロで4年やってきた意地がありました」
岩「僕の場合は、5年目に自分の給料の倍ほどもらっている大卒のルーキーがやってきた。ライバル心があるけど、新しい者に目がいくから、そのルーキーが先に試合に出るのよ。僕も1軍でちょっと出たけど悔しくて悔しくて5年目のオフにめちゃめちゃ練習した。そして6年目に初めて規定投球回にいった。だから同じ刺激を感じてほしい」
清「なるほど。それはその通りですね」
今年の目標は40本 1試合1カードで打ち続ける
岩「今年は化ける年。目標はホームラン40本と言っているけど…本当に描けている?」
清「正直、分からないです。去年の18本という数字も1試合1試合の積み重ねでした。シーズンを見たときに、40本を目指すというよりは、1試合1カードで打ち続けるというか。そんなイメージですね。打ち続ける!」
岩「打撃練習は、どんな意識で取り組んでいるの?」
清「僕はホームランを狙うよりも、センターに強い打球をイメージして打っています。ホームランになっても納得できるものではないこともあります。入って今のは良かったというのはあるけど、入らなくても今の感じ、試合につながるなと(手応えを感じることもある)」
岩「良い当たりの延長がスタンドイン。アーチストだからね。ホームランは過度に意識しない」
清「そうですね」
岩「周りの期待としても40本」
清「僕も打ちたいと思っているし、打つと思って過ごしています」
岩「僕は、50発を狙ってほしい。その上で、少し届かなくて40何発―。それぐらいのバッターだと思っている。元投手から見て、すごく穴が少なくなった。あと、ツボが多い打者は嫌。ツボが多いと吸い込まれるから。投手心理としてね。穴を克服するのでなくてツボを増やしてほしい」
清「それは面白いですね」
4番、新球場1号…こだわりはないけど 開幕スタメン、クリーンアップは自分が
岩「3月30日には新球場で開幕戦を迎える。何番バッターで打席に入ろうか?」
清「4番と言いたいところですが、こだわりがなくて。クリーンアップを打ちたいとは思っています」
岩「何番を打つイメージを持っている?」
清「最近はずっと5番で使っていただいています。その意図もすごく分かる。(松本)剛さんが出て、ジェイ(野村)と僕で何とか返す。いろいろ見えてきて、イメージが湧きやすかったです」
岩「役割を描きやすいのは何より。野村は4番にこだわっている。新球場第1号も俺が打つと言っている。その競争心をどう受け止めている」
清「あまりそこもこだわりがなくて、すみません(笑)。僕は6年目ですけど、まだ開幕スタメンが1回もない。そこは絶対に取りたい。1本目を打てたら、もちろんうれしいけど…」
岩「一生、名前が残る。札幌ドーム第1号は知っているかな?」
清「福留さん」
岩「そう。では北海道移転後のファイターズ1号は」
清「小田さん」
岩「知っとるやないかい! 意識しとるやないかい!」
清「めちゃめちゃ知っていましたね(笑)。そうですね。打てるに越したことはないですけど、1打席目に僕の前でジェイが打ってしまったら、それはそれで仕方ない」
岩「ジェイがセンター前ぐらいだったら、来たかと」
清「そうですね。ちょっと意識するかもしれないですね」
岩「しましょうよ! 清宮幸太郎の(1号記念)プレートを埋め込もうじゃありませんか!」
清「できるんですかね? まずは先発の加藤さんに(先攻となる楽天の打者に)打たれないようにしてもらわないと。あれ? みたいな(空気になる)。福留さんは札幌ドームで初球ですよね? プレーボール、初球先頭打者ホームランだったかと…」
岩「北海道で1度あることは2度あるみたいな(笑)。それはすげー心配。精密機械の加藤貴之が打たれるパターンは考えていなかった(笑)。でもあり得ること。加藤さんに言ってくれる?」
清「加藤さん、ぜひファイターズの選手に1号を打たせてください!」