プロボーダー松本遥奈がNPO法人設立 スノーボード競技普及と五輪選手輩出へ春から本格活動
スノーボードの楽しさを伝えると同時に普及と後進の育成
2018年平昌五輪女子スノーボードハーフパイプ6位の松本遥奈さん(29、クルーズ)が、2022年10月にNPO法人「北海道スノースポーツ振興協議会」を発足した。昨季限りで全日本スキー連盟の選手登録を終了。今年1月に米国で行われた冬季Xゲームを最後に、大会出場にピリオドを打った。今後は自らの経験を活かしたセカンドキャリアを春から本格的にスタートさせる。
弾丸娘(旧姓)川端絵美さんも理事に
NPO法人発足の目的は、スノーボードの楽しさを伝えると同時に普及と後進の育成、さらにイベントの実施など。松本さんが代表理事を務め、趣旨に賛同した旭川出身で1998年長野五輪女子スノーボード日本代表の上島しのぶさん(51)、アルペンスキーで五輪3大会に出場した北島絵美さん(旧姓・川端、53)が理事を務め、10人体制で動き出した。10代後半から構想を抱き、平昌五輪後に少しずつ活動を開始。「やっとNPO法人っていう形で本格的にやれる。雪上以外でも、講演会とかトークショーとか、スノーボードだけじゃなくてこれから色々やっていきたい」と声を弾ませた。
転機は2022年春。2021-22シーズンもW杯で5位に入るなど、今季の強化指定の条件をクリアしていたが「年齢的にもそうですし、遠征とかに行ってしまうと日本でNPO法人の活動ができなくなってしまうので、切り替えるいいタイミングだった」と第一線を退く決断をした。
23年Xゲームで競技生活引退
ラストレースは世界最高峰のXゲームと決めていた。2020年から3大会連続銅メダル。「Xゲームっていう大きな大会に出られることが、すごいこと。それを最後の舞台にできるんだったら最高」。22年11月に招待の連絡が届き、花道は整った。
引退報道後「すごい連絡が来た。プロスノーボーダーとして、まだまだやりたいことがたくさんありますし、ハーフパイプもまだやりたいことがある。バックカントリーにもトライしてみたい」と、まだまだスノーボードの表舞台で輝き続ける。
スノーボードは仲間で盛り上がれる
子供たちに伝えていきたいことはシンプルだ。「自分の好きなスノーボードをみんなにやってもらいたい。一番は楽しさ。何かにトライして、できなかったことが克服できた時とか、成功した時の喜びとか、他のスポーツでも一緒だと思うけど、スノーボードは特に仲間で盛り上がれる」。スノーボードに触れる機会を増やすことで底辺拡大に寄与していく。
競技普及の先には、将来のオリンピアン輩出も夢の一つだ。自らも2014年のソチを逃し、18年に初出場した。「怪我して復帰するまで時間がかかるとか、ここの道を通らなかったらもうちょっと早い段階で上にこれたのかなってことが多々ある。みんなに寄り道させないように、自分が経験したことを活かして、いい感じのスピードで選手を育成していけたら」。大きな夢を抱いて、スノーボーダーとしての第2の人生を踏み出す。