矢沢 中継ぎで〝投手デビュー〟1回自責点0 加藤投手コーチ「肩をつくるのが早い」
■練習試合 ロッテ5ー1日本ハム(23日、沖縄・タピックスタジアム名護)
5番手で七回のマウンドへ 先頭打者に二塁打も大崩れせず
リリーフ適性見えた! 日本ハムのドラフト1位ルーキー・矢沢宏太投手兼外野手(22)が23日、沖縄・名護で行われたロッテとの練習試合で〝プロ初登板〟を果たした。野手としてはすでに試合出場を重ねているが、この日が投手としての初実戦。5番手で七回のマウンドに上がり、1回を1安打1失点(自責0)にまとめた。
度胸満点の初マウンドだ。先頭の松川に初球をはじき返され、右翼線への二塁打を浴びたが「特に変わらず。『打たれたな』という感じでした」と冷静さは失わない。池田の投前犠打は落ち着いて処理し、1死三塁で同学年の藤原は投ゴロに仕留めた。2死から茶谷の一塁線への強い打球を清宮が後逸(記録は失策)し1点は失うも、最後は代打のポランコを二ゴロに打ち取り、大崩れすることなく投げ終えた。
投手調整に専念し登板 リリーバーの適性も
直球の精度を課題に挙げ、自己採点は「40点、50点くらい」と辛口だったが、「四球を出さない」という目標は達成した。「まだまだですけど、前回のライブBP(実戦形式の打撃投手)での登板に比べたら、きょうの方がまだ少しは良い。点は取られましたけど、1回を投げ切った経験ができた。これを生かしていければ、良い登板だったと言える。しっかり練習して、つなげていきたい」と前を向いた。
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登板前の準備段階で、中継ぎとして非凡な才能を示した。二刀流プレーヤーだが、この日は野手メニューは行わず投手に専念。ブルペンでの投球練習に費やしたのは、わずか15球だった。加藤投手コーチは「肩ができるのが早い。15球投げる前から、もう行けますみたいな感じでした。準備が早くできるのはリリーフとして良いこと。やることが少ないから、時間を持て余していましたね。暇だったらバットでも振っておけよって言いました。野手でもそうみたいですけど、準備にしても対応力がありそう」と高く評価。打者で出場後に救援登板する二刀流起用も想定し「準備が早いと、野手から来た時に対応しやすい」とイメージを膨らませた。
試合後には即ウエートトレ 強靱な肉体もストロングポイント
大学時代は先発起用が多く、登板前に遠投を行うことでフォームを微調整してきた。しかし、中継ぎ投手はシーズン中、出番直前に遠投を行うことができない。この日はあえて遠投をやめ、ブルペン投球のみで準備した。加藤コーチは「もともと(登板前に)長い距離を投げないと嫌だと言っていたけど、きょうは遠投をせずにブルペンで準備を始めて、すんなり入れた。リリーフは遠投ができないので、いずれやっておかないといけないと思っていた。きょうはそれができたので、良いかな。ピッチングの内容自体はこれからどんどん(良くなる)。初めてですし、ストライクゾーンに投げられただけで良かった」と〝予行演習〟に合格点を与えた。
リリーバーに欠かせない体の強さも持ち合わせている。春季キャンプも終盤を迎えているが「まだまだ疲れはないです。もっとやれます」と元気いっぱい。シーズン中の連投にも「僕はあまり、肩とか肘とか張らないので。全然大丈夫です」と意欲を見せた。この日の試合後は、休む間もなく上半身のウエートトレーニングを行っていた。
ライバルを意識せず「まずは自分のプレー」 次回の登板予定は3月2日の紅白戦
他人と比較することなく、わが道を行く。対戦した藤原や、ともに本塁打を放ったチームメートの野村、ロッテの山口は同学年。高卒で先にプロの世界に入ったライバルたちだが、「同級生は一番比較しやすいですけど、まずは自分のプレーが大事。周り見るよりまずは自分のプレーをしっかりしたい」と気にすることなく、自分のやるべきことに集中している。
二刀流の練習方法も少しずつ形が見え始めた。基本的には野手を優先し、ブルペン入りする登板2日前と登板日は投手メニューを行う方針だ。次回登板は3月2日の紅白戦になる予定。2月25、26日のオープン戦は野手としての出場が見込まれている。「野手の方が、実戦の回数が多いので、手応えを感じている。これからピッチャーとして実戦を重ねていって、良いものにしていけたら。次は野手での出場になると思う。しっかりアピールして、開幕1軍にいられるように頑張りたいと思います」。矢沢流の進み方で、自分だけのポジションをつかみ取ってみせる。