■オープン戦　楽天５―４日本ハム（３月５日、札幌ドーム）

主力級の犬鷲打線を圧倒　最速１５０キロの直球と多彩な変化球が光る

　期待のルーキーが開幕ローテ候補に名乗りを上げた。日本ハムのドラフト２位・金村尚真投手（２２）＝富士大＝が５日、楽天とのオープン戦に先発登板し３回１安打無失点と好投した。最速１５０キロを計測した威力ある直球に多彩な変化球を交えて４三振を奪った。〝プロ初先発〟を終え「テレビで見ていたすごい選手ばかりで少し緊張した。ストライク先行でいけて良かった」と、初々しくコメントした。

　主力級がズラリと並んだ犬鷲打線を実力でねじ伏せた。立ち上がりの一回。先頭・辰己にカウント０ー２から死球を当てるも、動揺する素振りは見せなかった。次打者・小深田を三振に斬ると、女房役の宇佐見が一塁走者の盗塁を阻止。「最初に盗塁を刺してくれて、すごくリラックスできた」。三振ゲッツーでピンチの芽を摘み一気に勢い付いた。

４つの三振はスプリット、スライダー、カーブ、チェンジアップ　全てが異なる球種

　続く二回は４番・浅村を見逃し三振に仕留めるなど３者凡退。三回も２三振を奪う快投で危なげなく乗り切った。この日奪った計４三振はスプリット、スライダー、カーブ、チェンジアップと全てが異なる球種によるもの。「変化球の自信は真っ直ぐに比べれば劣るけど、しっかり低めに投げて空振りが取れたのは良かったかな」。あらゆるボールを高精度で操る制球力が際立った。

　抜群のコントロールは、幼い頃に培われた。高校から投手に専念したが、小中学校では内野手や捕手を兼任。テークバックが小さい独特の投球フォームは野球少年時代の名残だ。持ち味の制球力について金村は「ちょっと野手っぽい投げ方なので、その分コントロールがいいのかなと思う」と自己分析する。

建山投手コーチ「先発ローテーション争いになるかは本当に五分五分。うれしい悩み」

　沖縄キャンプの実戦３試合は全てリリーフで登板。投球を重ねるたびに周囲の評価を高めた。首脳陣は中継ぎ適性を認めた上で、この日はあえて先発マウンドに送り出した。ゲームを見守った建山投手コーチは「きょうは３回でしたけど適性をしっかり見られた。ブルペンが手薄なのでそっちの可能性もあるし、このままイニングを伸ばして先発ローテーション争いになるかは本当に五分五分。うれしい悩みです」と、新戦力の台頭に目を細めた。

　次回登板は未定だが、チーム状況次第で開幕ローテ入りの可能性は十分にあり得る。高まる周囲の期待をよそに自らはマイペースで首脳陣の決断を待つ。「持ち味をしっかり発揮できれば開幕１軍もいけるかなと思う。きょう先発をやってすごくいいなと思った。あまり経験がない中継ぎも１イニングを全力で飛ばせるので面白い。任されたところで投げるだけです」。剛柔兼ね備える快腕が投手層を厚くする。