センバツ甲子園2年連続出場のクラークがメンバー発表 挫折乗り越えた宇都と金原が初のベンチ入り
一度は諦めかけた野球への情熱を甲子園初勝利に注ぎ込む
3月18日開幕の選抜高校野球(兵庫・阪神甲子園球場)に2年連続で出場するクラークのベンチ入りメンバーが8日に発表され、宇都尊陽外野手(2年)と金原律内野手(1年)が公式戦で初めて名を連ねた。2人とも道外からの進学組。一度は諦めかけた野球への情熱を甲子園初勝利に注ぎ込む。チームは8日午前中に深川市役所を表敬訪問。夕方には納内神社で必勝祈願を行い、9日に北海道を出発する。
東海大相模高を退学した宇都は1年の出場停止期間を経て選手登録可能に
昨年春は補助員として甲子園の土を踏んだ宇都。今度は背番号13を背負い再び聖地へ降り立つ。3月の関西遠征では練習試合4試合中2試合に出場。代打や途中出場で安打を放ち、アピールに成功した。「チームの流れを呼び寄せるバッティングや、ここぞという場面での一本を。試合に出られなかったなら、出てる選手を一生懸命サポートして、守りやすい、打ちやすいようなベンチの環境づくりに励みたい」と声を弾ませた。
両親が「逃げではない選択肢はあるぞ」と入学を後押し
宇都は神奈川・横浜市出身。東海大相模中等部時代は、硬式の横浜青葉ボーイズで主将を務めた。ところが、宇都を含む5人は高等部に進んだものの、中等部時代の先輩と一緒にチームのサポート役。なかなか練習に参加させてもらえず「未来がもう、マネジャーみたいになっていた」。そんな姿を見かねた両親から「逃げではない選択肢はあるぞって言ってくれて、転校生が活躍してる記事を見つけてくれた。それがクラークだった。選手として高校生活を過ごしたい」と、1年生の8月に同校を退学し、9月にクラークへ。1年間の出場停止期間を経て、昨年秋から選手登録が可能になった。
夏休み中の練習試合では、左翼で主軸としてスタメン出場していたが、練習中に右足首を骨折。秋はベンチ外だった。全体練習は年が明けてから。「まだ2カ月しかたってないので、感覚というものは戻ってはいない」と、自主トレで素振りを繰り返す。「何のために自分はここに来たのかっていうのを、もう一度胸に秘めて、しっかりとチームのためになるように。甲子園までの残り日数は少ないですけど、チームの全国一勝を叶えられるように、全力で取り組んでいきます」。大好きな野球を続けることができる喜びをかみしめ、宇都の高校ラストイヤーが再び幕を開ける。
六人兄弟・五男の金原は3人の兄に続いてメンバー入り
〝クラークといえば金原兄弟〟だ。背番号16をもらった金原は、六人兄弟の五男。クラークが甲子園に初出場した2016年夏に次男・瑶さん(23)、20年の独自大会で北大会を制した三男・塁さん(大商大2年)、昨春の選抜甲子園に出場した四男・颯(3年)。3人の兄に続きメンバー入りを果たし「こうやって甲子園にメンバー入りできて、本当に安心してます」。元々は外野手だったが、打撃を買われて一塁へ転向。佐々木達也部長にプレゼントされたファーストミットにも慣れてきた。「紅白戦でしっかり打って守ってというところでしっかりアピールできたかな」と、うなずいた。
一度は野球を諦めるも 兄の甲子園応援でレプリカユニホームを来て再び感化
宮城・松山小4年の時、「何かもうここで野球やりたくない」と、少年野球チームを退団。その夏、次男・瑶さんを応援するために、クラークのレプリカユニホームを着て初めて甲子園に向かった。そこで、「やっぱり生で見ると大きかったですし、空気が重いっていうか、本当に鳥肌も立って、ここでやってみたいって」と、翌年に野球を再開。3人の兄の背中を追いかけてクラークに進学した。
金原兄弟の悲願でもある甲子園初勝利へ。「いつでも試合に出られるような準備はして、サポートは全力で。声出しも全力でできることは全力で」。家族も応援に訪れる予定の甲子園スタンドを自らのプレーで沸かせてみせる。