小柏が復帰戦で見せたスピードは札幌の武器 次も得点につながるプレーに期待《河合CRC竜の眼》
選手の連係や球際での意識が試合開始直後から見えた新潟戦
アウェー新潟戦(3月4日、2△2)は、その前のホーム神戸戦(2月25日、1●3)では見られなかった選手の連係や、球際での競り合いに対する意識が、試合開始直後から見えて、良い試合の入り方ができていた。
この試合からFW小柏剛が復帰したが、改めてその存在感の大きさを感じさせてくれた。前半17分の先制点の場面では、MF金子拓郎からDF田中駿汰にボールが入ったときに、小柏が3人目の動きを見せて相手DF裏に抜け出せたことが、MF青木亮太の得点につながった。ああいうシーンをつくることができるのが小柏の強みであるし、金子、田中駿との3人の距離感も前半は非常に良かった。小柏のスピードは驚異的なものがあるし、札幌にとって大事な武器。この日はアシストで結果を出したが、今後はゴールにもこだわって、得点につながるプレーを見せてほしい。
青木の得点で幸先よく先制できたが、前半のうちに逆転を許してしまった。その原因は自陣バイタルエリアでの寄せの甘さ。特に1失点目は、あの辺りで打たれてしまうと、GKとしては見えにくくなってしまうので、全員がシュートを打たせないという意識を持って、球際で強く行かないといけない。本当にあと1歩、あとほんの50センチ寄せられるかどうかで、その差が勝負に出てしまう。そこはMF宮澤裕樹やDF岡村大八がもっとボールに強く行くように言っていかないといけない。
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浅野の同点ゴールはゴラッソ 要求が多い中で存在感を見せることができた
後半34分に生まれたMF浅野雄也の同点ゴールは〝ゴラッソ〟だった。熊本キャンプでのJ2熊本との練習試合を現地で見ていたが、同じ角度からこの試合のようなゴールを決めていたし、あの角度には自信を持っているのだろう。ミシャは浅野に裏への抜け出しや、他の選手と連係して短いパスをつなぎながら攻め込むというところも求めている。要求が多い中で結果を出して、存在感を見せることができたのではないだろうか。
最終的に勝ち点1を分け合う形にはなったが、同じ引き分けでも開幕戦のアウェー広島戦(2月18日、0△0)とは意味合いの違うものになった。連係面も良かったし、前線からのプレッシャーで相手4バックの2CBに対して、FW金健熙、小柏の2人ではめに行ったのが効いていた。そこで相手が蹴ってきたボールには岡村が競り勝っていたし、非常に内容のあるゲームだった。好調な新潟に対して、あれだけのサッカーができたことは自信にしていい。
いい崩しはあったが、ちょっとしたところで精度を欠いたルヴァン杯・鳥栖戦
ルヴァン杯アウェー鳥栖戦(3月8日、0△0)はスコアレスドローに終わったが、チャンスも多くつくれていたし、連係面でもいい崩しがあった。ただ、ちょっとしたところで精度を欠いた。FW中島大嘉の1対1やクロスからのシュートの場面は、やっぱり決めないといけないし、あそこで決めきれば勝ち点3を取ることができる。大嘉も悔しいと思うが、それがまた次の成長につながるので、何が良くて何が悪かったか、また、何ができて何ができなかったかを自分自身で振り返り、成長していってもらいたい。
3バックの中央で使われた中村 今後、リーグ戦にも絡んでくるのでは
この試合で目立ったのはDF中村桐耶。カバーリングも良かったし、対人の部分でも強さを見せた。彼のストロングポイントでもあるボールを運べる部分もよく見せていたので、これからはリーグ戦にも絡んでくるのではないかと思っている。この試合では3バックの中央で使われたが、同じポジションの宮澤や岡村と比べても、一番攻撃的なプレーができる。それぞれタイプが違うので、対戦相手に応じて使い分けるのもありではないか。彼のファーストチョイスとしては左CBか左WBだと思うので、ポジションを奪い取る気持ちを持って、レギュラーを脅かす存在になってほしい。
3月9日で2カ月間にも及んだ長期キャンプがようやく終了した。12日のホーム横浜M戦(札幌ドーム)に向けて、メンタル面でリフレッシュして試合に臨める。自分の経験上でも、キャンプ中の試合と終了後の試合では全然違っていた。キャンプでは1人部屋で、周りは選手たちなので、どうしても会話がサッカーの話になりがちになる。札幌に帰って日常に戻ると、家族がいるのでサッカーから一旦離れる。その中で、頭の中を整理できる時間もつくれるので、時にはサッカーから離れ、リセットするのも良いものだと思っていた。
前年王者・横浜M戦で大事なのは球際の戦いと前線からのプレスを緩めないこと
横浜Mは前年のチャンピオンチームであり、選手もほとんど変わっていなく、選手層も厚くて、開幕から見ていても良いサッカーをしている。札幌が引いて守ることはしないと思うが、大事なのは球際の戦いと、前線からのプレスを緩めないこと。攻めているときのリスク管理にも注意してほしい。横浜Mは3トップのうちサイドの2人が結構高めに張っている場合が多いので、前線からプレスをかけるのであれば、全員が連動して新潟戦のようにしっかりとかけていかなくてはいけない。
個の力で相手をはがせ、DFラインの背後も突ける小柏に期待
この試合のキープレーヤーに挙げたいのは小柏。個の力で相手をはがせるし、DFの背後も突ける選手なので、そのプレーぶりに注目したい。
試合前には、昨シーズン限りで現役を引退した上里一将氏が来場してトークショーを行う。OB会として、引退した選手全員に来てもらうという訳にはなかなかいかないが、札幌のOBがクラブに関わってくれるというところは見せていきたいし、それが北海道のためにもなるのではないかと考えている。今後もタイミングが合えば企画していきたい。
(コンサドーレ・リレーションズチーム・キャプテン)