【スピードスケート】女子中距離界の次期エース堀川 道新みらいスポーツ賞特別賞
2月W杯女子マススタートで初優勝
大樹町出身のスピードスケート女子日本代表、堀川桃香(19、富士急)が次世代のホープを対象とした、北海道新聞みらいスポーツ賞の特別賞を受賞。10日に札幌で行われた授賞式では、2月のW杯女子マススタートでの初優勝や世界選手権団体追い抜き銀メダル獲得など飛躍の一年を振り返り、さらに3年後に迫った自身2度目の五輪へ夢を語った。
北京五輪後、就職内定先チームが廃部
世界に大きく羽を広げたシーズンだった。22年2月の北京五輪にスピードスケートただ1人の高校生として初出場。帰国後、就職内定先の実業団が廃部になるなど波乱の社会人1年目のスタートだったが、今季最終戦となった3月の世界選手権の団体追い抜きでは、6周中4周で先頭を務めるなど銀メダル獲得にけん引。日本スケート界のニューヒロインとなった。「3000メートルや5000メートルでも、いいタイムが続いていたので自信もついてきて。『自信』っていうのが大きかった」。自らの〝みらい〟については「オリンピックで、メダルを取れるような選手になりたい。金メダルを取りたいです」と3年後の大舞台を見据えた。
平昌五輪女子団体追い抜き金の佐藤綾乃の滑り学ぶ
今季加入したナショナルチームで飛躍の土台を作りあげた。夏場の陸トレでは、筋トレに加え、多い日でロードバイクで120キロ走った。さらに氷の上では、18年平昌五輪団体追い抜き金メダルメンバーの佐藤綾乃(26、ANA、釧路北陽高出)の後ろについて、世界の滑りを間近で学んだ。「綾乃さんと同じタイミングで滑って、1歩で進む距離が長くなった。今まで直線10歩だったのが8歩になった」。自分より小柄な佐藤に最初は追走するのも苦労したが、長いストライドの滑りを吸収。スタミナの源でもある臀部(でんぶ)が鍛えられ「滑りも大きくなって、少しずつ手ごえも感じていった」。結果はタイムとなって表れた。
W杯初優勝は2月の最終戦でのマススタート。「チャンスはあるなと思っていた。オランダの強い2人も出てなくて、狙いどころとは思っていたんですけど、まさか、ドンピシャでいけるとは思っていなかった」。中盤に堀川とカナダ人選手で集団から抜け出すと、残り2周を堀川が逃げ切った。
5000メートルの日本記録狙う
個人でも自己新を連発。中でも3月の世界選手権では、3000メートルで4分2秒34、5000メートルでは6分58秒78をマーク。来季へ向け「5000メートルの日本記録があと2秒なので、それは更新したい。3000メートルも世界ではまだまだ遠いんですけど、もっと頑張ったら戦えるようにはなるのかな」とさらなる成長を誓う。
団体追い抜きの復権も背負う。「日本はずっとパシュートは強かった。今は負けているので、また強い時代を作っていけたら」と、次期エースとしての自覚も十分。憧れの高木美帆(28、日体大職)と比べられることが多いが「3000メートルで何回か勝っただけなので。全然遠い存在なので、まずは近づけるようになりたい」。伸び盛りの19歳は、背伸びすることなく、自らの道を切り開いていく。