■２軍教育リーグ　楽天７ー２日本ハム（３月１４日、鎌ケ谷スタジアム）

九回に登板し１回無安打無失点　「冷静に投げられた」

　支配下入りへ再出発だ。日本ハムの育成４位ルーキー・山本晃大投手（２３）が１４日、２軍教育リーグの楽天戦（鎌ケ谷）に九回から登板し、１回を無安打無失点に抑えた。１４０キロ台後半の力強い直球を軸に、２奪三振の快投。先頭の田中和は四球で歩かせたが「マウンドにいる時は次のバッターをアウトに取るしかないので、冷静に投げられたかなと思います」と落ち着いて後続を封じた。

５日のオープン戦で大乱調　新庄監督からも痛烈ダメ出し

　昨年ドラフトのチーム最下位指名選手。それでも春季キャンプでのアピールが実り、５日の楽天とのオープン戦（札幌ドーム）で〝１軍デビュー〟を果たした。しかし、登板直後に３連続四球と大乱調。1死しか取れずにマウンドを降りた。新庄監督からは「チャンスはああいうとこでつかまないとね」と厳しい言葉をもらい、「いろんな気持ちがすごいあった。緊張もあったし楽しみもあったし。本当にいいチャンスだったので、やっぱり力みもありましたね。勝負していても、１ストライクを取る大変さを感じました。結果として３四球。勝負できていなかった」と唇をかんだ。

失意から立ち直るきっかけとなった鉄腕の言葉

　失意の山本を救ったのは、関学大の先輩でキャンプ中から気にかけてもらっていた宮西だった。２軍行きを告げられ、札幌から鎌ケ谷へ戻る途中の新千歳空港でメッセージが届いた。「せっかくああいう良い舞台でチャンスをもらって、ものにできなかったのがすごい悔しくて、しょんぼり鎌ケ谷に帰ろうっていう時にラインをくれた。『結果は残念だったと思うけど、しっかりピッチングを覚えてヘコまず頑張れ』って言われました。本当に元気がなかったので、うれしかったです」 。憧れの鉄腕に励まされ、リベンジを心に誓った左腕は「課題も明確になったので、しっかりファームで頑張ります」と返信した。

　加藤投手コーチからは「（山本の）良さは投げっぷり。球速も１４０後半出ているので、それを暴れているからといって１４０中盤、前半に抑えたら意味がない。強いボールがおまえの強みだから、そこの投球スタイルは変えるな」とアドバイスをもらい、胸に刻んだ。気持ちを切り替えて臨んだ１１日の教育リーグ、ロッテ戦（ロッテ浦和）では１回完全投球を披露。「（１軍での）反省もふまえて、（ストライク）ゾーンで勝負しないと始まらないので、打たれてもいいから、甘いところでもいいから強い球投げるっていう意識に切り替えています」と前を向いた。

１軍再昇格へ　「一番のアピールはマウンドに立って抑えること」

　支配下昇格は当然、意識する。ただ、目の前の打者を抑えることしか考えていない。「欲を出しすぎてもマウンドではダメだと思う。一番のアピールはマウンドに立って抑えることなので、そこだけかなと思います」と力を込めた。札幌ドームで味わった悔しさは、エスコンフィールドに立つための大事な経験。宮西先輩からもらったエールに応える進化を遂げ、２桁背番号を勝ち取ってみせる。