矢沢 プロ初の投打同時出場 打って守って投げて打った 右翼―救援―右翼プランも
■オープン戦 西武3ー1日本ハム(3月14日、エスコンフィールド北海道)
新球場でリアル二刀流 打っては2打数2三振も投げては1回無失点
〝矢沢流〟実践だ。日本ハムのドラフト1位ルーキー・矢沢宏太投手兼外野手(22)が14日、エスコンフィールド北海道で行われた西武とのオープン戦で、プロ入り後初となる投打同時出場を果たした。打撃は2打数2三振で、投げては1回無失点。エンゼルス・大谷翔平投手(28)とは異なるスタイルの二刀流が、本格始動した。
打って守って投げて打つ―。めまぐるしく仕事をこなした。五回に代打で登場し、三振。六回から右翼の守備に就き、七回攻撃中にベンチ裏のブルペンで登板準備を進めた。八回に救援登板し、無失点で切り抜けると、裏の攻撃で2度目の打撃に入り、再び三振。ここでベンチに退き、役目を終えた。経験したことがないルーティンをこなし「まずは流れを経験できたというのが、一番の収穫かなと思います」と安堵の表情を浮かべた。
初の試みに揺れた心 「どういう流れになるのかなと」
平静を装っていたが、心は揺れていた。大学時代とは異なる手探りの挑戦で「打席の準備をしていても投手のことを考えて、どういう流れになるのかなと。そっちに気が行きがちになってしまった」と反省も挙げた。
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七回攻撃中に行った投球練習は20球。新庄監督が「2球あればいいらしいよ」と明かすように、ほかの投手と比較して、肩ができるまでの球数が極端に少ない。矢沢は自らの強みを理解しており「外野で出ている時点で、肩ができていないと野手としておかしい。あとは座らせて確認するくらいなので、20球も投げる必要ないかな」と次回に生かせる気づきもあった。
恩師の奇策をほうふつ 新たな新庄流も模索中
指揮官は二刀流に大きな可能性を見いだし、思い描く進化形についても言及した。「オレがやりたいのはこういう起用法ではない。例えば、伊藤君が七回まで投げる。左打者の時に、ライトの矢沢君が投手で伊藤君がライトに。1人抑えたら戻して、みたいな」
高速で準備できる矢沢を左キラーとして使い、守備のセンスを高く評価する伊藤を限定的に外野へ回すウルトラC。かつて、野村克也氏が阪神の監督時代、投手に一塁を守らせ、複数回継投する「遠山―葛西スペシャル」を編み出した。これをほうふつとさせる策だ。
試行錯誤の二刀流ルーキー 「責任もある。結果を出し続けないと」
矢沢自身、二刀流の難しさとともに、やりがいを強く実感していた。「楽しいです。ほかの選手より出場している時間、機会が多い。ただその分、責任もありますし、結果を出し続けないといけないなと思います」。ここからオリジナルのスタイルを磨き上げ、完成に近づけていく。