《荒木大輔のズバリ解投》一番安心して見ていられた鈴木 一塁にまわった万波がチーム力を底上げ
■オープン戦 日本ハム4ー0巨人(3月19日、東京ドーム)
一見、打ちやすそうで実は打ちにくいのがガントの持ち味
先発登板したガント。前回11日の阪神戦と同様に「まだまだ」という印象を受けた。力でねじ伏せるタイプではない。左右の違い、ボールの質も異なるが、加藤貴のイメージ。一見、打ちやすそうで実は打ちにくい。打ちにいったところで、伸びのあるボールに差し込まれる。良いコースに詰まらされる。
すべてはストライクゾーンで勝負できてこそ。ボールを動かし、凡打の山も築ける。はじめから外れていれば、バッターも打ちにはこない。
開幕に合わせる必要はなく、首脳陣にもそのつもりはないだろう。故障上がりということもある。ファームでしっかりと実戦経験を積み、安定して5~6回を投げられるようになってもらいたい。そのために今、一つ一つ段階を踏んでいるはずだ。長いペナントレース。投手陣の台所事情が苦しくなる時期は必ず来る。
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ピッチングに余裕が生まれている鈴木 先発ローテ入りへ前進
対照的だったのが2番手で登板した鈴木。2回⅓をパーフェクトに抑えた。適度に脱力しながら打者に向き合えている。力任せに勝負していたこれまでとは一転。良い意味で力が抜け、ピッチングに余裕が生まれている。
本人も手応えをつかんでいるはずだ。この日マウンドに上がった6投手の中で一番、安心して見ていられた。下手投げの鈴木が先発に加わるメリットは大きい。タイプの異なる投手が間にいると、ローテが組みやすい。
野村と清宮は甘いボールをきっちり捉えられている
リリーフにまわった田中正は登板4試合連続の無失点。自信がついてきていると見える。堂々と生き生き投げられている。ボールの強さは相変わらず魅力的で、短いイニングを目いっぱい投げられれば、長所もより生きる。ただ、2死から出した四球には不安を感じる。1点差での試合終盤など、四球は命取りになる。シーズンに入れば、緊張感も違ってくる。
打線は野村がタイムリーを打ち、九回に代打で登場した清宮も1球で仕留めた(初球を右前打)。主力と期待されるメンバーが甘いボールをきっちりと捉えた。万波が一塁にまわったことで、競争が持続し、チーム力の底上げにもつながっている。