投手・矢沢 〝大物トリオ〟と対戦「自分もここまで来たんだなって思ってうれしかったです」
■オープン戦 日本ハム4ー0巨人(3月19日、東京ドーム)
二刀流ルーキー投手に専念 3番手で登板し1回無失点
思い出の東京ドームで中田斬り! 日本ハムのドラフト1位ルーキー・矢沢宏太投手兼外野手(22)が19日、巨人とのオープン戦に六回から3番手で登板し、1回を無安打無失点に抑えた。この日は打者としての出場はなく、投手に専念。ビッグネームぞろいの強力打線と対峙(たいじ)し、坂本、長野には四球を出すも中田を右飛に抑え、開幕へ向けて弾みをつけた。
「これだけ連続で、良い打者が続く機会はなかなかない。きょうは特に、今まで本当にテレビで見ていた方たちと対戦できたので、すごく良い経験になりました。楽しかったです」
坂本、長野に連続四球 元日本ハムの中田翔は右飛
マウンドに上がると、バッターボックスに次々〝超大物〟が現れた。1死後、まず代打で登場したのは、通算2205安打を放っている坂本だ。さらに続けて、代打・長野。人気者の登場で、球場は割れんばかりの大歓声に包まれた。「うわ、来たなーって感じでした。きのうから歓声も(他の選手とは)違いましたし、すごくオーラがあって、スターだなという感じで若干、攻めていけなかった」。レジェンドたちが醸し出す雰囲気に圧倒され、2人とも四球で歩かせた。
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それでも、ビビったままでは終わらない。2死二、三塁となって、最後は代打・中田翔に真っ向勝負を挑んだ。カウント2ー1から、逃げずに内角直球を選択。右飛に打ち取り「中田さんのところでインコース真っすぐを投げられて、そこは良かったと思います」と胸を張った。
何度も足を運んだ東京ドームで一流打者と対戦
出身は東京・町田。東京ドームは幼少期から何度もプロ野球観戦に訪れた思い出の場所だ。「小さい時は巨人戦しかやっていなかったので、自然と見るようになって、巨人戦はずっと気にしていました。(長野、坂本も)もちろん小さい頃から見ていました」。中学時代に一度、シニアリーグ関東選抜の一員として試合をしたことがあるが、プロでは初めて足を踏み入れた。夢のグラウンドで憧れの打者たちと対戦し、「自分もここまで来たんだなって思ってうれしかったです」と少年のような笑みを浮かべた。
投打で存在感 建山投手コーチも「期待感は高まりますね」
オープン戦打率・308と、ここまで打者での活躍が目立つが、投手としても奮闘している。3試合に登板し、3回無失点。4四球と制球面に課題はあるが、まだ1本も安打を打たれていない。それでも、力の入れ具合はまだ7割程度だという。「結果的には点も取られていないので良かったと思いますけど、自分的にはまだ力も入れていないですし、もう一つ力を入れていければ。フォームのバランスがだんだんと良くなってきているので、力を入れずにフォームを確認しつつ、徐々に上げていきたい」と高みを見据える。
建山投手コーチは「野手の比重が大きいので、あまりこっちがピッチャーの方で焦って、調子を上げるためにドリルをつくったりとか、そこまではしていない。相当、体の負荷も大変と思うので、一番はけがをさせたらいけない。慎重にやっているのは事実です」と投手としての現状を説明。「今は出力を7割くらいに抑えていると思うんですけど、それをゲームでできるっていうのが驚き。調子が整って、いざゲームに送るってなった時の期待感は高まりますね」と本領発揮の時をじっくり待っている。
目標は野手での開幕スタメン 投手としても日々進化
いよいよ、シーズンが幕を開ける。3月30日の開幕戦まで残りわずかだ。目標は「1番・右翼」での開幕スタメンだが、投手としてもチームに貢献する準備はできている。「投球は良い感じのものを見つけつつある」と自信を口にした。投げて、打って、走って、守る黄金ルーキーがスタートダッシュの鍵を握っている。