侍ジャパン伊藤 いざWBC決勝へ 〝火消し役〟の原点は駒大苫小牧高時代にあり
劇的勝利のメキシコ戦 タイブレークに備えブルペン待機
ワールド・ベースボール・クラシックに出場している日本代表は20日(日本時間21日)、メキシコとの準決勝に臨み、6ー5でサヨナラ勝ち。劇的勝利で3大会ぶりの決勝進出を決め、悲願の世界一奪還へあと1勝に迫った。
この日出番がなかった日本ハムの伊藤大海投手(25)は勝利の瞬間、ブルペンにいた。「もし同点で(延長十回)タイブレークに入った場合、頭から行くよと言われていた」。村上(ヤクルト)の逆転サヨナラ打が飛び出し、「やってくれるかなっていう気持ちがあった。その後の準備に心がいっていたので、ホッとした気持ちはありました」と胸をなでおろした。
駒大苫小牧高の佐々木監督が述懐 「そういう役回りをさせていた」
チームでは先発を担う伊藤だが、今大会は中継ぎとして〝火消し役〟を託されている。この日も序盤からブルペンで肩をつくり、登板機会をうかがっていた。実は駒大苫小牧高時代も同じような役割を担っていた時期があった。同校の恩師・佐々木孝介監督(36)が「僕も〝火消し〟をさせていたんです。周りも育てないといけないので、ずっとそういう役回りをさせていた」と明かす。
今でも脳裏に焼き付く3年春の全道決勝 気迫あふれる投球で後半4回を無失点
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2014年春のセンバツでは、2年生エースとして1回戦の創成館(長崎)戦で3安打完封。伊藤ありきのチームだったというが、センバツ後に無理がたたって右肘を疲労骨折した。佐々木監督は「申し訳なかった」と試合であえて先発させず、主に中堅手として起用。「辛い場面になったら大海。大海は辛い場面で1人とか2人とか投げて、外野に戻すという繰り返しをずっとやっていた」と振り返る。
〝火消し役〟としてリリーフ経験したことが、闘争心あふれる投球の原点となった。3年春の全道大会決勝。駒大苫小牧は北海を相手に、五回で1ー14と大量リードを許していた。中堅で先発出場していた伊藤は居ても立ってもいられなくなり、佐々木監督に「変えてください。投げさせてください」と初めて直訴。六回から4イニングを無安打6奪三振の無失点と完璧なピッチングを披露し、指揮官を「ものすごい形相で投げていた。ああいう感じを初めて見ました」と驚かせたという。
決勝でアメリカと激突 「笑って日本へ戻れるようにしたい」
21日(日本時間22日午前8時開始)の決勝で、侍ジャパンは2連覇を狙う米国と激突する。総力戦となる見込みで、伊藤の登板機会もありそうだ。
「きょう、興奮しすぎて寝られるかな」と苦笑いしつつ「もちろん、いつでも投げられる準備はしています。本当あと1試合やりきるだけ。笑って日本へ戻れるようにしたいです」。準備は万端。あとはマウンドで、伊藤大海らしさを見せるだけだ。