栗山監督&大谷 6年ぶりのタッグで世界一奪還 WBCで3大会ぶりV
日本ハム時代から続く師弟コンビ 決勝で米国破り覇権
再び動きだした師弟の物語が、米フロリダ州マイアミで漫画のような結末を迎えた。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場した日本代表は21日(日本時間22日)、決勝で米国を3ー2で破り、3大会ぶりの優勝。世界一奪還を果たした。侍ジャパンの指揮を執る栗山英樹監督(61)は、1点リードの九回に日本ハム時代のまな弟子で米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平投手(28)をマウンドに送った。
「3番・DH」で先発した大谷が、DHを解除してクローザーとして登場。2死から同僚のトラウトをスライダーで空振り三振に仕留め、グラブと帽子を投げ捨てて、喜びを表現した。指揮官は「翔平とトラウト選手を見ながら、本当に野球ってすごいなと、野球の神様がそういう形にしたのかなと思います」と感慨にふけった。
「いい時は連絡しない」のが2人の暗黙ルール 節目節目でやり取り
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2017年12月25日に札幌ドームで行われた大谷のエンゼルスへの移籍会見。同席した栗山監督は「嫌なことを言う係にならないと。ラインでメッセージが入ると、イラッとするようなことも言う」と宣言した。けがが続いたメジャー3年目までは「どんな感じ?」などと連絡を取っていたが、21年以降はパタッと止まった。「いい時は連絡しない」が師弟のルールとなり、何かあれば水原一平通訳を介していた。
久しぶりにやり取りをしたのは、栗山監督が日本ハムの監督を退任した2021年秋。本拠地最終戦となった10月26日だった。セレモニーを終えてスマートフォンを手に取ると、試合中に大谷からメッセージが届いていた。「要するに試合中をあえて狙っているんだよね。すぐ見ないように…。その文章は結構、感動的なんだけど…」。詳細は語らなかったが、文面に胸が熱くなったという。
16年のリーグ優勝&日本一以来の歓喜 大谷「最高の形で終われた」
日本ハム時代の17年以来6年ぶりにタッグを組み、世界一を達成。記者会見で栗山監督について問われた大谷は「一緒に日本一にもなりましたけど、こういう形でまた一緒にやると思ってなかった。最高の形で終われて素晴らしい大会だった」。一方、指揮官は「きょうで監督が終わるので、あしたからまったく何も肩書がない人になる。個人的な話をしてもいいかな」と前置きし「今は監督なので、僕の思いよりも、ダルや翔平と一緒にプレーすることが選手にプラスになると思った」と話すにとどめた。
17年の移籍会見で大谷が栗山監督にプレゼントしたエンゼルスのユニホームは、還暦祝いに日本ハムの選手からもらった赤いユニホームと共に自宅の寝室に飾ってあるという。「俺の部屋に飾ってあるもの、それくらいしかないかな」。北の大地で紡いだ師弟の絆は色あせない。