尻上がりに調子が良くなっている5試合 今後に向けて期待できる《河合CRC竜の眼》
パーフェクトゲームだった横浜M戦
ホーム横浜M戦(12日、2〇0)は本当にパーフェクトなゲームだった。昨年のチャンピオンチームに対して完璧な内容で勝利できたことは自信になるし、いちフットボールファンとしてもすごく魅力のある試合だった。
横浜Mはハイラインで守って、前からプレッシャーをかけてくるチーム。それに対してGK具聖潤からのロングパスに反応したMF金子が相手DFにうまく体を当てて裏に抜け出し、上げたクロスから生まれた、前半8分のFW小柏の先制ゴールはスカウティング通りだったといえる。前半40分のシンプルなパス2本から生まれたMF浅野の惜しいシュートもそうだが、この試合では相手DF裏のスペースが広かったので、そこを狙っていた印象を受けた。GKから足元でつなぐだけではないという、また違った札幌を見せることができた。
ハイプレスは献身的プレーがあってこそ
後半32分にはMF小林が相手GKにプレスをかけてボールを奪い、がら空きのゴールへ流し込んだ。本人は「得点はおまけみたいなもの」と言っていたが、横浜MのFWマルコス・ジュニオールの目線や体の向きから予測して、あそこへしっかりプレスに行けた小林のセンス、サッカーIQの高さが見られたシーンだった。この試合、チームとしてハイプレスができていたのも、小林がチームの勝利のために献身的にプレーしてくれたからという印象を受けた。
高い攻撃力を誇る横浜Mを前半シュート0本、試合全体でもわずか5本に抑えた。前半からハイプレスが狙い通り決まっていたが、新潟戦から2トップにしたことによって、より相手CBをマークできるようになり、ボランチにも1人付けるようになったことで、マンマークが明確になった。相手が長いボールを蹴ってくるシーンでも、プレスをかけてコースを限定させることができていたので、DF岡村が裏のスペースを気にすることなく、前をつぶしに行けたのが大きかった。
前半はワンサイドゲームだったG大阪戦
アウェーG大阪戦(18日、2△2)も、試合開始早々の前半6分にCKから小林のゴールで先制した。早い時間帯にセットプレーから得点できると試合展開としては楽になる。小林はニアに入る約束事だったそうだが、「ボールの軌道を見てファーに動いたところにボールが来た」と言う。プレーに関わらなくなったからといって終わりではなく、その後も動き続けたからこそ自分の目の前に転がってきたボールだと思うので、やはり動き続けることは大事だなと感じたシーンだった。
前半32分には相手のパスミスを拾った小柏が、そのままゴールまで向かい追加点を決めた。シュートの場面では小柏が一度右に運んだことによってコースをつくることができたし、シュートもうまく決めることができた。前半を振り返ると、横浜M戦の勝利で得た自信や、やってきたことが間違いじゃなかったという気持ちを見ることができて、ワンサイドゲームと言ってもいい出来だった。
ハイプレスが剥がされると後手に回ってしまう
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だが後半14分、G大阪に1点を返されてしまった。この場面では1枚ずつハイプレスが剥がされ、相手の縦パスへの対応に行けなくなってしまったのが失点の要因の一つ。そして相手センターフォワードが中盤の位置まで下がったときに、誰がマークに付くのかというところで、岡村が行かざるを得ない状況となったためギャップができてしまい、そのギャップを突かれて失点してしまった。CBが相手との距離感を自覚し、もっと球際に強く行くのか、味方とコミュニケーションをとってマークを受け渡すのかの判断をしっかりすることが大事になる。
同点に追いつかれた後半16分のシーンも、ギャップを突かれてチャンスを演出されたもの。途中交代でアンカーの位置に入ったG大阪MF石毛が長い距離をフリーランしてきたため、札幌の選手が付ききれず剥がされてしまった。ボールに関わっていく選手に対して後手になってしまう部分があるので、チームとして前から行くのか、自陣にもう少し引き込んでからプレスに行くのかを明確にしてもいいのではないかと感じた。
流れをどう引き戻すかが上位争いの鍵
2分間で2失点を喫してしまったが、失点した後にふわっと試合に入ってしまうと、こういった現象が起きてしまうので、それを防ぐためにも、宮澤だけに頼るのではなく、小林や岡村、MF荒野あたりがチームを引っ張っていくために声を出していかないといけない。
そのまま2-2のスコアで試合は終了したが、勝ち点2を逃した試合とも言えるし、勝ち点1を得た試合とも言える。後半、相手に押された中で逆転されなかったのはチームとしてのたくましさを感じた。ただ後半も前半のようなゲームを続けていかなければ上位争いには食い込めない。流れが相手に渡ったときに、どうやって自分たちに引き戻してくるかが今後非常に大事になってくる。
新潟戦からプレスもはまってきている
リーグ戦は最初の5試合を終えて1勝3分1敗、勝ち点6で11位となっている。スタートダッシュに成功したとは言えないが、チームとしてやりたいことは見出せてきたかなと思う。新潟戦ぐらいから徐々にプレスもはまってきているし、攻撃面でも魅力あるサッカーを展開できている。尻上がりに調子が良くなってきている5試合だったので、今後に向けても期待ができると感じる。
25日にはルヴァン杯磐田戦(ヤマハ)が控えている。リーグ戦との間隔が前後1週間空いているので、どういうメンバー構成になるか分からないが、グループリーグを突破するためには非常に大事な一戦となるので、若い選手の躍動に期待したいし、勝ち点3を奪ってほしい。
アカデミー出身MF木戸の内定は非常にいいニュース
22日、大阪体育大に在籍しているMF木戸柊摩(20)の2025年シーズンからの加入内定が発表された。プレースタイルとしてはリズムがつくれて、攻撃にアクセントを加えられる選手だと思うので、今のミシャさんのサッカーにも合うのではないか。札幌のアカデミー時代から才能がある選手だと思って見ていたし、大学に進学してからも活躍していることを聞いていたので、いつか札幌に戻ってきてほしいと思っていた。それが実現したのは僕自身もうれしいし、アカデミー生にとっては、トップ昇格できなくても頑張っていれば大学を経て戻ってこられるということを見せることができたので、非常にいいニュースになった。
(コンサドーレ・リレーションズチーム・キャプテン)