新庄監督 重圧乗り越えた1勝 追い付かれても劇勝の予感的中
■パ・リーグ2回戦 楽天3ー4日本ハム(4月1日、エスコンフィールド北海道)
開幕戦の悔しさが1勝の喜びを増幅 ユーモアたっぷりに心境吐露
劇的結末へと導かれる予感があった。就任2年目の日本ハム・新庄剛志監督(51)が1日、エスコンフィールド北海道で行われた楽天戦で、待望の新球場初勝利をつかみ取った。天然芝が映える真新しい球場で、無邪気にはしゃぎ、歓喜の輪をつくる選手たちをまぶしそうに見つめた。
平静を装ってはいても、開幕戦を落としたショックは大きかった。必然的に、2戦目の重圧は増した。だからこそ、総力戦で制した1勝の味は格別だった。試合後、会見場に姿を現すと、ユーモアをたっぷり交えて胸の内を明かした。「救心(動機、息切れを改善する医薬品)を6ダースオーダーしようと思います。勝ちが長かったー。2カ月ぐらいかかったような気持ちですよ!」。2日前の開幕戦が、遠い昔のように感じるほど、密度の濃い時間を過ごした。
同点に意気消沈のスタンド 新庄監督「ここから感動を見せますよ」
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同点の七回、代打で送り出した今川の勝ち越し打と清宮の投手強襲タイムリーで2点をリード。勝利は目前のはずだった。しかし八回、メネズが辰己に同点2ランを浴び、振り出しに。お祭りムードだったスタンドから悲鳴が上がった。
重苦しい空気が漂う中、新庄監督は全く別の青写真を描いていた。「ベンチからファンのみんなを見ながら、不思議とよしよしと。(自分でも)訳が分からない。ここから感動をみんなに見せますよと、そう思ったんですよね」。窮地に陥ったという認識はなかった。言い表せる根拠はなくても、揺らぎのない自信があった。
歓喜に沸く選手の表情に感銘 逆襲の物語がスタート
延長十回、新時代の主役として期待を懸けてきた野村、清宮の連打で試合が決まった。戦力の見極めとチームの成長に全振りした昨季とは白星の意味が違う。優勝に近づくための第一歩を刻み「まだ未熟な若い選手たちが力を合わせて勝ち取った。みんなの表情を見た時にうれしくて、うれしくて」と目を細めた。
ハラハラドキドキの展開を経て、想像は現実になった。新庄監督は、WBCを制した侍ジャパンの戦いを例に挙げ「栗山さんはこれの3兆倍、心臓がキューンとなったんだろうな」とおどけて笑った。時には神経をすり減らし、強い覚悟を携えて指揮を執る。新球場に舞台を移した逆襲の物語が今、始まった。