岩見沢に3四半世紀ぶり社会人野球チーム誕生 「トッキュウブルーローズ」発足へ
運送会社の「トッキュウ」がメーンスポンサー
岩見沢市栗沢町に本社を置く運送会社のトッキュウが、社会人野球の都市対抗野球出場を目指しクラブチーム「トッキュウ・ブルーローズ」を立ち上げる。栗沢出身の工藤真也代表取締役社長(48)が、野球を通じた地域活性化を目的に5年ほど前から計画を練っていた。日本野球連盟北海道地区連盟の資料によると、岩見沢に硬式クラブチームが発足するのは1950年代に数年間だけ活動していた岩見沢クラブ以来3四半世紀ぶり。今後、北海道地区連盟に加盟し、2024年度からの大会出場に向けた体制作りを本格化する。監督には22年秋まで札幌創成高で監督を務めた元プロ野球選手の遠田誠治さん(58)が5月1日付で就任。6月からセレクションを開始し20~25人ほどの選手確保を目指す。
「岩見沢をもう一度野球で盛り上げたい」
岩見沢をもう一度野球で盛り上げたい。工藤社長は旧栗沢町出身。栗沢小・中では野球に熱中していたが、東海大四高(現・東海大札幌高)、東海大では陸上・三段跳の選手。「われわれが子供の頃は、岩見沢には駒大岩見沢があって地域で応援してた。そういうチームがなくなったので、またみんなで岩見沢で全国を目指すようなチームを作りたいと思った。(目標は)やっぱり都市対抗出場。岩見沢の代表になるのが一番」。将来の企業チーム化を視野にいれながら、東京ドームの大舞台を目指して行く。
チーム名は、岩見沢の市花であるバラが由来。「青いバラの花言葉は、奇跡だとか不可能を可能に変える意味がある」と同社の工藤康洋専務取締役(46)が発案した。
「地元の企業と地域活性化をしながら、雇用の促進が目的」
同社は栗山町で創業し今年で64年目。特急栗山運輸として同町内の小林酒造の酒の運送としてスタートした。1975年に旧栗沢町に本社を移転し、現在では東京本部や大阪などに進出。さらに関連会社も複数展開する。ホールディングス制を敷き、グループ全体の年商は約76億円。「われわれの業界だけじゃなく、人手不足の解消に向けて、地元の企業と地元の野球をやってる子たちとで、地域活性化をしながら、若い子たちの働く場、雇用の促進が目的です」(工藤社長)。セレクションの対象は地元だけではなく、本州からのUターン組にも声をかけている。市外出身者が岩見沢に住むことで、町の発展に寄与出来る。「われわれグループの会社以外にも、岩見沢の中で同じような企業さんをスポンサーで募って、そういったところにも就職してもらえるような形が一番理想的ではないか」(同社長)。練習拠点は同社近隣にある栗沢球場を予定。
初代監督は元中日の遠田氏
初代の遠田監督は、北海高から新日鉄室蘭。〝五強時代〟と呼ばれた群雄割拠の北海道で、都市対抗野球に3度出場した。1986年オフに中日入り。引退後に学生野球資格を回復し、14年に札幌創成高に勤務。部長、監督を歴任し、19年に南北海道大会8強入り。甲子園出場は果たせなかったが、当時のエース・竹内龍臣投手(21)を中日へと輩出した。
9年間務めた札幌創成高を昨秋支部予選後に勇退。今年4月末で退職する。新たな船出に「やりがいがある。都市対抗、出たいですね。でも、まずはクラブ選手権で結果を残すことと、(都市対抗)2次予選に顔を出せるチーム作り」とイメージを膨らませる。セレクションでは「センターライン中心にすごい打てる、飛ばせる、肩が強い、足が速い。1つでも秀でた武器があれば」と一芸にも注目。将来のプロ輩出の夢を抱く。
仕事と野球の両立。「今回は部員も少ないと思う。1人1人と対話しながら、いまどういう調子なのかといった細かいところにまで気を配りたい。社会人なので仕事をさせてもらって、野球をさせてもらうわけだから、人としてこれだけは大事にしようと決めごともつくって取り組んでいきたい」。岩見沢から大きな挑戦が始まる。