上沢 お得意オリに12連勝「野手が点を取ってくれて何とか勝てた」
■パ・リーグ2回戦 日本ハム6-2オリックス(4月8日、京セラドーム大阪)
「人生で初めて」不運乗り越え今季初勝利
粘って、しのいで、勝ちを拾った。日本ハムの上沢直之投手(29)が8日、京セラドームで行われたオリックス戦に先発登板。5回を2失点にまとめ今季初勝利を挙げた。湿りがちだった打線も奮起しエースを援護。5連敗中だったチームはトンネルを脱出し、逆襲ののろしを上げた。
幾度も訪れたピンチを、経験と工夫で乗り越えた。立ち上がりから「どこが要因が分からなかった」と、制球が定まらず苦心のマウンドとなった。1点リードの二回無死満塁のピンチでは、ワンバウンドした投球が捕手を務める伏見の首元から防具にすっぽり入り、暴投で失点。「人生で初めて」という不運にも見舞われ、あっさり逆転を許した。
クイックに変化球多用…工夫を重ねる姿に打線も応えた
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一回から四回までは毎回得点圏に走者を背負う苦しい展開。今にも試合が壊れかねない状況に陥りながら、土壇場で踏みとどまった。試合途中からは直球でカウントが稼げないと判断し、スライダーとカットボールを中心に配球を組み立て。四回以降は打者のタイミングを外そうとクイックを多用し「とりあえず今、一番良いボールを投げられるフォームで投げようと思った。クイックの方がある程度まとまる感じだったので」と、なりふり構わずアウトを求めた。
そんなエースの力投に応えるように、打線は四回に3点を獲得。再逆転に成功し、上沢は勝利投手の権利を得たままマウンドを降りた。後を受けた鈴木ら3投手が無失点でバトンをつなぎ、今季初めて先発投手に勝ちが付いた。「野手が点を取ってくれて何とか勝てた。だけど、僕自身は5回で代わっているので内容としては満足できるものではない。ここからしっかりやっていきます」と、チーム一丸の勝利を喜びつつも口元を引き締めた。
不敗神話が継続した。2018年4月24日から続くオリックス戦の連勝記録は「12」に伸びた。だが、驚異的な好相性ぶりにも「たまたま僕の時に点をたくさん取ってくれるからで、僕がどうこうではないです」と浮かない表情だ。本意ではない投球に終始しながらも白星という良薬は得た。〝不思議の勝ち〟をきっかけに状態を上向かせる。