ヴォレアス入れ替え戦先勝! フルセットでの逆転勝利も驕りなし クライン監督「明日(9日)に関しては全く別のゲームになる」
■V・チャレンジマッチ第1日(8日、茨城・ひたちなか市総合運動公園体育館)
ヴォレアス北海道3―2大分三好
昨年の轍は二度踏まない
激闘を制し、V1昇格に一歩近づいた。V2連覇を果たしたヴォレアス北海道が、V1最下位の大分三好にフルセットの末、競り勝った。ブロックポイントは相手の10本を上回る13本を決めるなど、エド・クライン監督(41)の戦術が的中。昨年の入れ替え戦は初戦に先勝したが、翌日は敗戦を喫し、得点率の差で昇格を逃した。今度は2連勝を果たし、文句なしで悲願を成就させる。
試合の入りはすんなりとはいかなかった。サーブの強い大分三好は、サーブレシーブの苦手なペートゥ・マキネン(27)を狙ってきた。相手の思惑通りレシーブは乱れ、うまく攻撃に転じることができなかった。クライン監督が「サーブで引きずり出されてしまった」と話したように、相手のオポジットであるイノック・モゲニ(25)対策のために起用していたペートゥだったが、遅れを取る前に指揮官は動いた。
佐々木主将投入が転機
13―21と劣勢の場面でペートゥに変え、佐々木博秋主将(28)を投入。得点差があったために、17―25で第1セットは落としたが、その効果はすぐさま表れた。第2セット以降はサーブレシーブが安定し、クイックなど攻撃のパターンが増えた。第2セットは25―16と逆に圧倒した。
また、第1セット終了時に修正を加えたブロックも見事にハマった。チーム最多に並ぶ3本のブロックポイントを決めた佐々木は「エド(クライン監督)の戦術通りに付いていたので、約束を守った結果」。監督の優れた戦術眼が結果に直結した。
レンタル加入中の樫村が故郷で躍動
サントリーサンバーズから1年のレンタル移籍で加入しているミドルブロッカーの樫村大仁(24)も2本のブロックポイント。効果的なクイック攻撃も決め、勝利に大きく貢献した。茨城工専出身の樫村にとっては〝凱旋試合〟。「普段できないプレーとかもできてしまうマジックみたいなものがあった」と笑った。慶応大3年時には、右膝の半月板を割る大けがもあり、「本来のプレーができないのを抱えながらやっていた」と振り返る。「北海道でいい方向に進んで、大きな問題が解消された」と感謝を口にし、「(9日も)ブロックで頑張ります」と最終戦も活躍を誓った。
クライン監督「どういったところを改善できるか分析していきたい」
エース・張育陞(23、チャン・ユーシェン)も36得点を挙げるなど、チーム一丸でつかんだ1勝。同じ轍は踏まない。指揮官も「明日(9日)に関しては全く別のゲームになる。まだまだ改善する余地がある。ブロックディフェンスもオフェンスもそう。どういったところを改善できるか分析していきたい」と気を引き締めた。チーム全体にも驕りはない。運命の一戦は、スタートから流れを引き寄せる。