ヴォレアスの司令塔がV1へ導く セッター山岸「明日も勝たなきゃ上がれない」
■V・チャレンジマッチ第1日(8日、茨城・ひたちなか市総合運動公園体育館)
ヴォレアス北海道3―2大分三好
最後は山岸のツーアタック
最後は相手の隙を見逃さなかった。フルセットまで及んだ大分三好との入れ替え戦初戦。最終セット14―10のマッチポイントを迎え、ヴォレアス北海道のセッター・山岸隼(23)のツーアタックが、相手コートにポトリと落ちた。不意を突く攻撃で激戦に終止符を打ち、第1ラウンドを見事に制した。
昨年はV1チーム側で出場
司令塔として、セットカウント1―2からの逆転勝利に導いた山岸は「勝ちは勝ちなんですけど、明日(9日)も勝たなきゃ(V1に)上がれないので」と浮かれることはなかった。逆の立場を知っているからこその言葉だ。昨年はVC長野の一員として入れ替え戦を経験した。ヴォレアスを迎え撃った2連戦で、初戦こそ落としたが、翌日は勝利。共にフルセットの激戦の中、得点率の差でV1残留を成し遂げた。
初戦はシーズンのデータを重要視した戦いとなるが、2戦目は一度戦った〝肌感覚〟が大切になる。「全員がしっかり準備して、今日(8日)の1セット目みたいにならないように。勝ちに驕れず、明日(9日)は違う戦い方を(大分)三好はしてくると思うので、ミーティングもしっかりやりたい」と、すでに視線は次戦へ向いていた。
最優先はリカバリー、最終戦に疲れを残さない
そして「一番はしっかり寝て、明日の試合で疲れないように」と続けたのには、意味があった。昨年の第2戦、相手セッターとしてヴォレアスの動きの変化を感じ取っていた。セットカウントは1―2と先行を許したが「去年のヴォレアスは4セット目で疲れていた」と慌てることなく、第4セット25―14、最終セット15―10と圧倒したことが脳裏に焼き付いている。今年も昨年と同じく初戦はフルセットの激闘となった。「(昨年)自分が対戦相手だったっていうのもあるし、みんなも分かっていると思うので、そういうところを生かして頑張っていきたい」と、最優先のリカバリーに徹する。
エド・クライン監督(41)の采配で、第2セット以降はサーブで崩れるシーンが減った。パスが安定すると、セッターとして攻撃の選択肢は自ずと増えてくる。「パスが返らなかったときは、張(育陞、チャン・ユーシェン)に託さなきゃいけないところもありますけど、パスが返ったときは自分の仕事」。今季から攻撃のタクトを振るう若き司令塔が、V1への道筋を作る。