ドラ2金村 デビュー2戦目でプロ初勝利 パ新人一番乗り
■パ・リーグ3回戦 日本ハム7ー2オリックス(4月9日、京セラドーム大阪)
一回のピンチを最少失点 ヒーローインタビューで「金村尚真という名前を覚えて」
パ・リーグの一番星だ。日本ハムのドラフト2位ルーキー・金村尚真投手(22)が9日、京セラドームで行われたオリックス戦に先発し、6回3分の1を2失点に抑え、プロ初勝利をマークした。パ・リーグの新人では最速の1勝。敵地でヒーローインタビューを受け「次もチームを勝たせるピッチングをするので、金村尚真という名前を覚えていただければうれしいです」と初々しくファンにあいさつした。
4点の援護をもらった一回、3連打で無死満塁のピンチを招き、1死後に杉本の右前打で1点を失った。「頭が真っ白になりかけた」というが、粘り強く後続を断ち、傷口を最小限にとどめると、二回以降は持ち直した。
建山コーチも高評価 「精神面でもどっしり感がありました」
大胆にストライクゾーンで勝負し、走者を背負っても落ち着いて切り抜けた。七回1死から安打と四球で一、二塁の走者を置いて降板したが、内容の伴った102球の熱投だった。建山投手コーチは「初回、ピンチでマウンドに行った時も浮足だった感じがなかったですし、精神的な面でもどっしり感がありました。よく引かずに投げられたと思います」と新人離れした強心臓ぶりに舌を巻いていた。
自己最速151キロ 富士大・安田監督が明かす大学時代
質の高い変化球や四隅に投げ分ける制球力がクローズアップされる。ただ、プロ入りを強く意識した大学時代、最もこだわって磨いてきたのは直球だ。この日、自己最速の151キロを計測。突き詰めてきたテーマが間違っていなかったことを結果で証明した。
富士大入学当初、平均球速は140キロ前後だった。同大学野球部の安田慎太郎監督(38)はコーチだった当時、金村からプロ志望の意思を聞き「1位指名を目指してやれ。競合されるくらいの選手を目指さないと活躍できないよ」と伝え、課題を提示した。「最低150キロ。プロで活躍するならそれは必須」。以降、二人三脚で球速アップに励んだ。
高校までは、ほぼ未経験だったウエートトレーニングを重視。筋肉量を増やすため、オフの冬場だけでなく、シーズン中も同水準のハードなメニューをこなした。大学入学時、約70キロだった体重は83キロまで増加。比例するように球速は上がり、卒業前に150キロに届いた。恩師の助言に沿って愚直に体を鍛え、有言実行のプロ入りを果たした。
記念の初勝利も通過点 「区切りをつけて、また次の試合」
コツコツと努力することで未来を切り開いてきた金村は「(伊藤)大海さんも最初の1勝は結構てこずったと言っていた。まず1勝できて本当に良かったです」と少しだけ喜びに浸り「シーズンは長いのでもっと勝ち星を挙げて、チームに貢献できたら。今日は今日で区切りをつけて、また次の試合」と自らに言い聞かせた。わずか2度目の挑戦でもぎ取ったメモリアルな白星。高いハードルを難なく突破し、一流への階段を上がり始めた。