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2023/04/17 18:00

【社会人野球】空自千歳のエースバッテリーが〝編隊〟復帰 公務員チーム初の都市対抗本戦切符つかむぞ

航空自衛隊千歳の石井(左)と三栖の黄金バッテリーが公務員として全国初の都市対抗初出場を目指す(撮影・西川薫)

22年に10年ぶり日本選手権出場

 2022年11月の日本選手権に10年ぶり2度目の出場を果たした航空自衛隊千歳に、同大会を研修で離脱していた三栖龍馬投手(26)、石井雅敏捕手(27)のエースバッテリーが復活した。5月の都市対抗道予選でも研修で不在の選手が発生するため、昨年に続き2年目の福井一気監督(29)ら4人のコーチ陣も選手登録し、総力戦で本大会の切符をつかみ取る。日本野球連盟によると、公務員チームが本大会に進出したことは過去に例がない。

石井捕手が新主将「1人1人が責任感を持って」

 〝空飛ぶ国家公務員〟チームに、頼れるコンビが帰ってきた。昨季限りで引退した伊賀俊輔前主将(29)から、大役を引き継いだ石井新主将は「頼りになった人がどんどんいなくなってる。1人1人が責任感を持ってやんなきゃいけない」。強い危機感を抱いて〝編隊〟をまとめる。

1カ月後には都市対抗予選

 エースの三栖も思いは一緒だ。4月8日に行われた北海学園大とのオープン戦に八回から3番手で今季実戦初登板。2回を投げ1被安打2失点。オフに得意のカットボールに加え、曲がりの少ないカットボールを開発。この日は、指が引っかかりすぎて、2四球と制球を乱す場面もあった。「試合になると、練習とは違うところがあるなっていうギャップを感じた日でしたね。もう1カ月後に、都市対抗の予選が始まるので、ゴールデンウイーク前には不安をなくして、いよいよ確認っていう形にしていきたい」。課題を1つ1つつぶしながら、本番に向けて調整を続けて行く。

 去年、力になれなかった悔しさをぶつける。2人は9月の日本選手権北海道予選が開幕する約3週間前から研修で離脱することが決まっていた。チームに本職の捕手は石井主将のみ。そこで、代役に指名された、嵯峨智仁内野手(29)を8月頭から2人で徹底的に仕込んだ。ストッピング、リード、インサイドワーク。マスクにプロテクターを着用する特殊なポジションの捕手だったが「元々センスがあるので、どのポジションもこなせる。そこまで教え込まなくてもできていた」と石井主将。2人の思いを託して大会へ送り込んだ。

研修で全国大会欠場したエース三栖「(今年は)絶対に行く」

 2人はチームの北海道予選の結果や、本大会の戦いぶりを、研修の空き時間にライブ映像などでチェック。結果は王子(愛知)に1-4で敗退。三栖投手は「全国に行けたという、うれしい半面、悔しさもあった。見終わった後、マウンドに立ちたかったなより、来年絶対に行きたいと思った」。今度は自らがチームをけん引する。

「最後まで諦めない姿勢を見せて」

 企業チーム登録だが、練習環境は決して恵まれているわけではない。野球部員は航空機の整備や物品補給などの部署が多く、練習時間は勤務が終わる午後5時から午後8時くらいまで。基地内にグラウンドはあるが、打撃マシンもスピードガンもない。ネットも老朽化している。ただそれを言い訳にはしたくない。石井主将は「応援してくれる人たちの期待は絶対に裏切らないように、最後まで諦めない姿勢を見せて試合ができれば」とチームの思いを代弁する。

 WBCで優勝した侍ジャパンの活躍にも大きな刺激を受けた。三栖投手は巨人・岡本和真(26)世代。「憧れますね、ああいう注目を浴びると」。石井主将は、ソフトバンク・周東佑京(27)と東農大オホーツク時代の同期。「意外と驚かないっていうか。一緒にやっていて、足がすっげえ速いんで、なんか活躍するんじゃないかって思ってた」。今度は自分たちが、WBCも開催された東京ドームの大舞台を目指して、テークオフの準備を整える。

 

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