栗山高女子硬式野球部 新1年生14人迎え本格始動 全国優勝右腕らも加入
昨年4月発足の同好会が部に昇格 森主将「格好いいチームになりたい」
22年4月に栗山高校に同好会として発足した女子硬式野球チームに10日、14人の新1年生が入部。森乃々花主将(2年)を含め15人となり、正式に部活動に昇格。同日夕方から同校グラウンドで始動した。新1年生には、昨年の全日本女子軟式野球学生選手権(中高生の部)を制した東京城南鵬翔クラブのエース・染海帆投手ら有力選手が揃った。5月14日に開幕する北海道女子硬式野球連盟のリーグ戦で公式戦デビューを迎える。
入学式を終えた14人がグラウンドに集まると、元気よく練習がスタート。これまで1人で練習してきた森主将は「人数が多い分、1人とは全然違う。1人の時では味わえない楽しさがある。勝てるチーム、強いチームより、誰が見ても格好いいチームになりたい。だらだらせず、道具の並べ方も汚くないチームをつくりたい」と声を弾ませた。
世界を知る金監督自らスカウティング 期待の精鋭が栗山町に集結
14人中2人が道外から入学。硬式経験者は5人。女子野球ワールドカップで5連覇の偉業に貢献した金由起子監督(46)が1年間かけて、函館や釧路までスカウトに走り回り、何度も体験会を開いて集めた精鋭だ。部員は全員寮暮らし。「甲子園や東京ドーム(で行われる全国大会)に出て、優勝できるチームをつくりをしたい」。初日から全選手を希望位置など複数ポジションに配置。そこで精力的にノックを敢行した。約1カ後に迫ったデビュー戦へ向けて、選手の適性を見極めていく。
もともと女子硬式野球部発足の狙いは、栗山高の存続と町おこしが目的。さらに同校は23年度から、町内で「福祉のまちづくり」を学ぶ新たな総合科目を導入。これにより、人数は限られるが、道外からも推薦での入学が可能になった。神奈川からの2人も推薦での入学だ。今年は50人が入学し、目標としていた2間口(クラス)を維持することに成功した。
室内練習場など進む環境整備 栗の樹ファームも利用
環境整備も徐々に進んでいる。室内練習場や、移動バスの確保もある程度のめどがついてきた。同校グラウンドでの練習は男子野球部と交互。女子は月曜日と木曜日。ほかの日は、サッカー場やソフトボール場を使う予定だ。さらにメンバーは、女子硬式野球部発足を後押しした侍ジャパンの栗山英樹監督(61)とも2度対面。栗山監督が町内に造った栗の樹ファームも利用できるという。
道外から2人入部 昨年の全日本を制した染「環境が良くて町がすごく温かかった」
集まった選手も粒ぞろいだ。染投手は金監督に声をかけられ、昨年10月中旬の体験会に参加。チームメートだった石渡帆夏内野手は、染が栗山高に進むのを知り、自らも北の大地へ進んだ。染は「他に何校もあったんですけど、グラウンドとか、環境が良くて、町がすごく温かかったし、良い場所だなとここに決めました。ここでは、みんなを引っ張っていけるような投手になりたい。もともと甲子園に行きたかった。横浜商高で野球をやっていたお兄ちゃんが、ずっと甲子園に行きたいって言っていた」。兄の思いも背負い、全国高校女子硬式野球選手権の決勝が行われる聖地のマウンドを目指す。
栗山町から日本一へ! 昨年の道選抜エース格・三浦万「監督の下で野球がしたい」
硬式経験者は全てリトルシニア出身。中でも三浦万侑投手は、昨年7月のGirls Championshipで、北海道選抜のエース格として、決勝も含め4試合中3試合に先発。準優勝に大きく貢献した。「体験入学の時に、金監督が一人一人にしっかりと指導をしていて、監督の下で野球がしたいと思った。球が速い方ではないので変化球で打ち取っていく投手になりたい」。かなわなかった日本一を栗山から実現させる。
◆栗山高女子硬式野球部メンバー◆
名 前 学年 位置 出身中学 所属チーム
森 乃々花 ② 外 音更共栄 十勝グラティアスウィッシュBC
三浦 万侑 ① 投内 黒松内 余市シニア
石渡 帆夏 ① 内外 神奈川・川崎 東京城南鵬翔クラブ
堀 心乙 ① 内投捕 恵庭恵み野 恵庭シニア
澤井 遥 ① 内投 札幌あいの里東 札幌栄シニア
澤田 芽依 ① 外 北斗上磯 函館港西シニア
手塚 依杏 ① 内外投 浦河第二 浦河第二中
金泉 結空 ① 外 札幌信濃 ソフトテニス
染 海帆 ① 投外 神奈川・横浜寺尾 東京城南鵬翔クラブ
金村 明依 ① 内外 釧路阿寒 十勝グラティアスウィッシュBC
三浦 空音 ① 内投 新ひだか静内第三 静内第三中
盛川 琴音 ① 捕外 砂川中 札幌ブレイク
中田 ゆい ① 投外 音更共栄 十勝グラティアスウィッシュBC
伊藤 虹葉 ① 外 登別緑陽 洞爺湖シニア
八橋 妃菜 ① 内外 千歳 千歳中