円山、麻生に続く、札幌に第3の公営硬式球場誕生へ モエレ沼公園野球場の改修工事スタート
25年春完成、両翼100メートル、中堅120メートル、照明6基付き
2021年秋まで軟式球場として使用していた札幌・モエレ沼公園野球場の硬式への改修工事が、いよいよ本格的に始まる。札幌市によると、両翼100メートル、中堅120メートル。外野フィールドには天然芝を敷き詰め、スピードガンを備えた大型スコアボードを完備する。ナイター照明6基を設置する予定だ。まずは4000席を予定している観客席から着工し、総工費は約34.7億円。工事に伴う住民説明会も開催されている。順調に工事が進めば2025年春にオープンを迎える。
旧球場を180度回転させ、故イサム・ノグチ氏のコンセプトを崩さないように
札幌に初のナイター照明付き屋外硬式球場ができる。現在は本塁から中堅に向かって西南西方面を向いているが、新球場は180度回転させる。同公園の敷地は元々ゴミの埋め立て地で、20年度に既存のスタンド付近をボーリング調査した際、地下からゴミが出てきて建設に適さないことが判明。また同公園全体を彫刻作品と見立てて設計した故イサム・ノグチ氏のコンセプトを崩さないようにすることと、公認野球規則にある「本塁から投手板を経て二塁に向かう線は、東北東に向かっていることを理想とする」とのルールをクリアするため、市は同氏の財団と何度も交渉。最終的にゴミの出てこなかった外野芝生席付近にスタンドや本部を配置することで合意。現在のバックネットやスタンドは全て取り壊されることになった。
これらの影響で、当初23年春のオープンを目指していたが約2年後退。15年からナイター付き球場建設を求める署名活動を展開してきた北海道野球協議会の柳俊之理事長(75)は工事開始に「ようやくここまできた」と声を弾ませた。
景観に配慮し照明の高さを約25メートルに
周囲への景観を損ねないよう、ナイター照明もプロ仕様の高さ約40メートルではなく、約25メートルに抑えた仕様になる。高校野球で使用するかどうかは現時点では未定だが、コロナ禍の20年に独自大会として開催された南北海道大会は、ベンチ消毒などの影響で試合間隔が空いた結果、第3試合が日没コールドとなったケースが発生した。道高野連は22年11月の理事会で今春から継続試合の導入を承認したが、ナイター設備があれば思う存分最後まで戦う事ができる。
老朽化進む札幌麻生、札幌円山
モエレ沼公園野球場が25年春にオープンすれば、同年に老朽化進む札幌麻生、26年に札幌円山の改修工事を始める予定。最終的に27年春に札幌市内の硬式3球場体制が整えば、週末の球場確保が難しかった中学硬式を中心とした各団体は利用しやすくなる。
23年は、夏の甲子園出場をかけた南北・北海道大会の準決勝以降を北広島のエスコンフィールドで行うことが決定。さらに今秋から選抜甲子園につながる全道高校野球を全天候型の札幌ドームで開催することを決めたが、費用面のハードルは決して低くない。新たな公営球場の誕生は関係者の悲願。完成が待ち遠しい。