【西川薫】春の高校野球から声出し応援が全面解禁 母校・北海の応援練習を見学した
3年半ぶり声出し応援解禁
2023年の春季全道高校野球大会の各支部予選からスタンドなどでの声出し応援が19年秋以来3年半ぶりに全面解禁になる。今回、全国最多40度目の夏の甲子園出場を目指す北海高が声出し応援の練習すると聞きつけ、OB記者が見学しに行った。
昭和の終わりまで活動していた伝統の応援団がなくなって以降、野球部内では口伝えで受け継がれてきた応援歌がコロナ禍を経てスタンドに〝復活〟する。現在の部員は入学以来、声出し応援をしたこともなければ、受けたこともない世代。記者が知る限り、現在の道内の高校で校歌の他に応援歌を持ち、公式戦で歌う高校は北海以外に見当たらないように思う。
17年夏の甲子園出場組を中心に11人で指導
今回の声出し応援の練習は17年夏の甲子園で選手兼マネジャーとしてベンチ入りした当時3年生の後藤大成さん(23)が、同期や後輩に声をかけて実現。後藤さんは2年時に新入生の教育係を務めた経験があり、立教大でも3年秋から学生コーチとして、常にチームの縁の下の力持ちとなってきた。「北海は応援も含めて伝統。北海らしさは変えちゃいけない。この応援をしっかりと伝えたい」と有志10人と一緒に母校へ駆けつけた。
♪裏の藪から、猛者がでるよ~♪ 北海には男子高当時から続くバンカラな応援歌だけでも3曲。さらに激励歌や優勝歌など校歌を含め全10曲の歴史ある歌が伝えられている。今回の応援練習に向けて、現役部員たちは2日前から同校校友会のHPで公開している音源を元に、校歌と「応援歌ナンバーⅠ」の2曲を覚え、練習に臨んだ。
スタンド応援は高校野球の文化
この日は有志がアカペラで先導し約1時間、熱心に身ぶり手ぶりを交えて教えていた。最初は声も小さく、たどたどしかった部員たちが、最後には何とか形になるまで成長。今後も定期的に継続するそうだ。今北孝晟主将(3年)は「忙しい中、教えに来てくれた先輩方には感謝したい。応援を受ける側は、グラウンドで結果や全力で戦う事、諦めないでしっかりやるところを見せていきたい」。スタンドの応援は高校野球を彩る大事な文化。5月の開幕がより一層、楽しみになってきた。