《人ほっとコーナー》リアルとバーチャルのレーシングチームを運営する佐藤元春さん(48)
40歳でレーサーになり、20年にはeスポーツにも参戦して二刀流実現
レーシングチームの「KOSHIDO RACING」とeスポーツチームを同時に運営しているのは、有限会社恒志堂の代表取締役を務める佐藤元春さん(48)だ。「リアルとバーチャルの架け橋をつくる」ことを目標に走り続けている。
趣味をそのまま具現化した。「車が幼い頃から好きで、40歳になってから本格的にレース活動をやろうと思っていた」と、目標である「40歳でのレース参戦」を実現させた。最初は参加できればいい程度だったというが、「負けると悔しいので、勝ちたい、優勝したいとなって、本格的に国際ライセンスも取得して戦っている」と徐々にレースへの情熱は貪欲になっていった。
現在は北海道・十勝スピードウェイで開催されるJAF公式戦「北海道クラブマンカップレース」など、年間5戦ほどに参戦。自身も2、3Gにも耐えうる体に鍛え上げ、ドライバーとして戦っている。「一番大事なのは情報処理能力」と語る。ライバルの位置や、コーナーポストで出される合図など目で見る情報だけでなく、メカニックから来る無線の情報など、一瞬で起こりうることを判断して総合的に咀嚼(そしゃく)しながら戦うことが要求されるという。
「元々バーチャルやゲームが好きだった。両方理解することがすごい大事」
そして、2020年にはeスポーツにも参戦した。Twitterでメンバーを募集し、5人のレーサーと1人の練習生が加わった。「元々バーチャルやゲームが好きだった」と佐藤さん。「リアルでもバーチャルでも活躍できるようなアスリートの自分を育成したり、それをつなぐことがすごく楽しい」という。バーチャル世界にも積極的に関わっており、現在はVtuberの風越星名もチームに所属している。
「しっかり両方理解することがすごい大事。バーチャルだと、例えば(ボクシングの)井上尚弥選手とも戦うことができる。数秒ももたないと思いますけど(笑)。今注目されているのが、認知症予防にもなるんじゃないかと。そういう意味でもeスポーツは効果的であると、解明されてきているはず。それがもっと明確になれば、すごく人生において有益なものになる。あとは楽しさとかワクワクを簡単に提供できるので、すごく魅力的な部分ですよね」
eスポーツ特化型ホテル「VILLA KOSHIDO ODORI」(札幌市中央区)も21年3月にオープンさせた。「コロナの大きな第2波のときだったので、最初はビジネス利用が多かった。ただ、最近になってグループで利用したり、合宿で利用することが少しずつ増えてきた。ガチ勢だけじゃなくて、ライトユーザーにも使いやすいようにしたい」と話した。
多岐にわたる活動から将来を見据えたさらなるビジョンとは
これまで自身の描いた〝二刀流プラン〟を達成させてきたが、さらに将来を見据えたビジョンが明確にある。「昔から決まっています。最終的には無償の教育サービスをやりたい」とキッパリ。現在も不動産や介護、レース、プログラミングなど活動は多岐に渡っているが、「それを無償で伝えていくっていうのが、人生の最後の目標。15歳から70歳ぐらいの人が同じ空間に集まって、衣食住について学ぶ。学んだものは全部吐き出して終わりたい」。現代版の寺子屋設立へ、歩みは止まらない。
■プロフィール 佐藤元春(さとう・もとはる) 1975年3月22日、札幌市生まれ。98年、北星学園大を卒業後、株式会社札幌セミナー(現札幌練成会)に就職。2004年、有限会社恒志堂を設立し、06年に代表取締役へ就任した。レース活動だけではなく、不動産業や宿泊施設の運営など、多くの事業を手掛けている。家族構成は妻と1男1女。