新球場まで0分 北広島高がエスコンF対策 グラウンド改修で6年ぶりの春全道狙う
2023年春季全道高校野球大会札幌支部予選の組み合わせ抽選会が25日、札幌市内で行われた。夏の南北海道大会の準決勝と決勝が行われる、エスコンフィールド北海道まで徒歩0分の北広島は、12日のDブロック2回戦で道科学大高と札幌北斗&札幌東豊連合の勝者と対戦する。
通行客対策に防球ネット設置
新球場開業によりファウルボールがエスコンフィールドに向かう観客に当たる危険性を回避するため、今年3月にグラウンド本塁上方に天井ネットを設置した。打撃練習でフライが上がるとネットに当たるため強い打球を意識。逆境をチーム力強化に生かし、6年ぶりの全道大会出場を目指す。
練習試合では特別ルール適用
雪解けが例年より早かったが、3月中旬の設置工事終了を待っての〝開幕〟となった。天井ネットからは、前後左右にネットが垂れ下がるが、中堅方向中央部だけは空いている。同高グラウンドで毎年40試合近く練習試合を行ってきたが、今年からは特別ルールを施行。打球がネットに当たった場合は審判が判断し、弱い飛球は認定アウトにするなど、工夫しながら実戦経験を積んでいる。
練習試合は、ここまで2勝7敗(※21日現在)。昨秋は4年ぶりに札幌支部代表決定戦に進出も1-5で札幌新川に敗戦した。「4番左翼」で先発した千葉陸主将(3年)は「去年は全部苦しい展開だった。冬は自主性に重点を置いて各自に任せてきた。まだ打線が線になっていない。守備も連携がまだまだで大量失点が多い」と課題を口にする。
「(ネットに当たらないよう)みんな低くて強い打球を打とうと」
天井ネットに関しては、チーム全体で前向きに捉えているという。打撃ゲージを横に3台並べると、両端の飛球線はネットが妨げとなるが「打球の制限はあるけど、みんな低くて強い打球を打とうとしている。ただ練習試合で何球かファウルボールがネットを越えていってしまって…」と千葉主将。元々、グラウンドの三塁側から左翼線後方のサッカー場まで防球フェンスが建っていたが、エスコンF開業に伴って1段高いフェンスを一塁と三塁両側に追加。それでも、天井ネットを通過した打球が左右に切れてネットを越えてしまうことがあるのが悩みの種だ。
思わぬ開業効果もある。千葉主将ら多くの部員は、市外からのJR通学。エスコンFを横目に見ながら学校に通う。「毎日、日本ハムの速報を見ながら刺激を受けてます」。さらに三塁側の道路は、北広島駅からエスコンFへの通路になっており、試合がある日は、球場へ向かう観客の列が続く。練習や練習試合が行われていると、足を止めて見学する人も結構いるそうでモチベーションにつながっている。
ベースボールアカデミーの特別講義に感銘
さらに21日には、新入部員9人ら新1年生が、新入生交流会でエスコンF内を見学。特別にグラウンドに降りて、ベンチから真新しいスタジアムを見渡したという。藤原亮介投手(1年)は「ベンチからの風景が、普通のグラウンドとはレベルが違うなと思った。こんな中で試合をするんだ」と感動。その後、1年生は同校体育館で日本ハムベースボールアカデミーの村田和哉 さん(37)、須永英輝さん(37)の特別講演を受講した。中でも藤原投手は、村田さんの「挑戦が大切。名もない雑草にも陽は当たる」という言葉に感銘を受けたそう。「僕も挑戦していって、1日でも早くチームの力になれる様に努力したい」と目を輝かせる。
OGがファイターズガールに
23年に入って野球部OB会が結成。5月にはOB会から部員全員に日本ハムのビジター風オリジナルデザインの練習着が届くことになっている。4月12日には、同校OGでファイターズガールの辻菜穂子さんが、新入生歓迎会にサプライズで登場するなど、開業フィーバーに沸いている。今夏、エスコンFで行われる南北・北海道大会の準決勝と決勝を黙って指をくわえたまま見るつもりは毛頭ない。そのためにも、まずは春の第1目標である全道切符をつかみ取る。