火消し成功のドラ6ルーキー宮内 プロ初ホールドに「数字が付いたのはうれしい」
■パ・リーグ5回戦 ソフトバンク1-5日本ハム(4月30日、エスコンフィールド北海道)
五回1死満塁 最大のピンチで登板 「いつも通り自分のボールを投げるだけ」
度胸たっぷりの投球で、最大の難局を乗り越えた。日本ハムの宮内春輝投手(26)が30日、エスコンフィールド北海道で行われたソフトバンク戦に2番手で登板。2点リードの五回1死満塁のピンチで登場し、火消しに成功した。プロ初ホールドを記録し「いつも通り自分のボールを投げるだけでした。数字が付いたのはうれしい。これからも積み重ねていければ」と、ほっと胸をなで下ろした。
勝ちは付かなくとも、その投球には大きな価値があった。代打・柳町に適時打を許し、一打逆転の状況に陥りながら土俵際で踏みとどまった。1番・佐藤直を二飛に仕留めると、続く三森は一ゴロで料理。ベースカバーに全力で走っていた右腕は、谷内とタッチを交わすとゆっくりベンチへ帰還した。
13球中12球 アマ時代に磨いた直球主体で最少失点
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
アマチュア時代に磨いた直球は、舞台を変えても大きな武器になっている。この日投じた全13球の内訳は、ストレート12球にカットボール1球。直球、直球、また直球と恐れを知らない投球で、並み居る好打者を封じ込めた。「前回登板の時は結構、左打者に打たれたけど(きょうは)左打者に対してファウルを取れたのが良かった」。真っ向勝負で要所を締め、相手に傾きかけた流れを引き戻した。
2021年。日本製紙石巻でプレーしていた宮内は、知人である米国帰りのトレーナーに教えを請い、ウエートトレーニングの方法を変更した。取り組みの成果は翌年の春に表れ、22年5月に行われたNTT東日本とのオープン戦で「知らず知らずのうちに球速が上がっていた」と大きな手応えをつかんだ。この年、最速152キロにまで達した直球はスカウトの目にとどまり、プロへの扉をこじ開けた。
「真っ直ぐでガンガン押せる投手になりたい」。入団前に思い描いた理想の姿を今でもブレずに追い続けている。「そこが持ち味だと思うので変わらず出していきたい。変化球がないとキツい部分はあるけど、もっと真っ直ぐで空振りを取れるようになれたらなと思います」。大胆不敵な投球スタイルで、ブルペンの屋台骨を支えてみせる。
勘違いで渡された勝利球は堀に渡し「自分にはまだ早いということだと思います」
初ホールドを記録したこの試合で、新たな目標も生まれた。ゲームセット直後には、宮内が勝利投手であると勘違いした万波からウイニングボールを手渡された。「『初勝利ですね』って渡されたけど、違ったので堀にあげました。自分にはまだ早いということだと思います」。プロ野球人生は始まったばかり。遅咲きの才能を開花させた男は、1つずつメモリアルな記録を刻んでいく。