【札幌6大学野球】星槎道都大の153キロ左腕・滝田 6回0封9K 日本ハム稲葉GMも絶賛
■札幌6大学野球春季リーグ戦 第1節第1日(1日、札幌円山)
NPB9球団のスカウトが集結 プロ注左腕が今季好スタート
ドラフトイヤーの今季は〝圧投〟する―。札幌6大学野球が開幕し、星槎道都大は北大に快勝。開幕投手を務めたプロ注目の左腕・滝田一希投手(4年、寿都)は、6回2安打9奪三振で無失点と好スタートを切った。日本ハムの稲葉篤紀GM(50)や吉村浩チーム統括本部長(58)など、バックネット裏にNPB9球団のスカウト陣が集結する中、最速153キロ左腕がしっかりと存在感を示した。札幌大は北海学園大に2―1、東海大札幌は札幌大谷大に5―1で勝利。それぞれ上原哲朗監督(72)と藤田翔監督(29)の初陣を白星で飾った。
アクシデントにも屈せずエースの投球 狙うは4年ぶりの全日本選手権
決して万全ではなかったが、北大打線を寄せ付けなかった。序盤から140キロ台中盤の直球を連発し、ロッテのスピードガンでは最速150キロをマーク。途中、左手人さし指の血豆をつぶすアクシデントもあり、六回には2死一、二塁のピンチを招いたが、後続を二ゴロに打ち取り、涼しい顔で切り抜けた。
この日は6回85球でお役御免。「調子が悪い中、打たせるところは打たせて、三振を取れるところは三振を取れたので、調子よりも良い投球ができた」。チームを開幕勝利に導くエースの投球だった。同じくプロ注目の150キロ右腕・伊東佳希主将兼投手(4年、旭川北)と共に、4年ぶりの全日本選手権出場を狙う。
遅球こそが最大の魅力 日本ハム稲葉GM「チェンジアップが非常に特殊」
150キロ超のスピードに目を奪われるが、110キロを切る遅球こそが最大の武器。人さし指と薬指でボールを挟んで抜くチェンジアップは大きな脅威となる。四回には先頭打者から108キロのチェンジアップで空振り三振を奪った。約40キロの球速差には、視察に訪れた稲葉GMも「チェンジアップが非常に特殊。(球が)来ないですよね」と舌を巻いた。「左で150(キロ)投げられる投手は非常に貴重。(ドラフト上位に)入ってくるんじゃないですか」と評価した。
フォーム変更に最速更新 進化し続ける道産子左腕
このをリーグ制するのは〝最低ライン〟。昨年12月、大学野球の日本代表候補合宿に参加し、全国レベルを肌で感じることができた。「全国に行くと、バッターのレベルが一つも二つも上がるので、こっちで無失点じゃないと、上では通用しない」とキッパリ。さらなる進化へ、フォーム変更も功を奏した。より軸足に体重を乗せるため、始動の際に昨季より右足を高く上げるようにしたところ、ボールの勢いは増した。
2週間前の練習試合で、自己最速を2キロ更新する153キロを記録した。今春から背番号「1」を背負う左腕は、さらに注目される立場となった。それでも「イチからスタートしたかった。変えていかないと自分の成長にならない」。ドラフト候補の道産子サウスポーに、油断も慢心もない。目指すのは、完全無欠の投手だ。