今季初勝利の伊藤 自ら考え行動する道産子右腕 オフに行った〝雲隠れ第2弾トレーニング〟の中身とは
■パ・リーグ4回戦 日本ハム7-1西武(5月2日、ベルーナドーム)
エムズボディサポート代表の松下トレーナーが同行 全貌を明かした
日本ハムの伊藤大海投手(25)が2日の西武戦(ベルーナドーム)で今季初勝利を挙げた。今年1月、米国でダルビッシュ有投手(36)と合同自主トレを行った後、キャンプインまで〝雲隠れ第2弾〟と銘打った単独トレーニングを敢行。ベールに包まれた行動の全貌を同行したエムズボディサポート代表の松下将志トレーナーが明かした。
1月下旬、プロ3年目のシーズンを前に、伊藤は国内某所で地道なトレーニングに励んでいた。キャンプに備え、ブルペンで投げ込みをしていたわけではない。松下氏は「ブルペンに入ってバンバン投げるとかはない。自主トレ中はキャッチボールと立ち投げの強いのだけ。本人の意向だったりします」と証言する。
ランニングフォームの見直しと体幹トレーニングが軸
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メニュー内容は「足の動かし方や体の進め方、使い方だったり、小学生がやるような」シンプルなもの。午前中に球場が確保できた日はキャッチボールを行い、昼食後、休憩を挟んで陸上競技場でランニングメニューを消化。気分転換の意味合いもあり、午前中に砂浜でできるトレーニングをした日もあった。
重きを置いたのは、ランニングフォームの見直しと体幹トレーニングだ。松下トレーナーは「球が速い選手は足も速いし、遠くに飛ばせる選手は体が大きくても足が速かったりする」と説明。正しく走ることができれば、体にかかる負荷も軽減する。伊藤は、走っても50メートル5秒8の俊足。「陸上競技部のウオーミングアップに近いものを入れて、ちょっと走り方の修正をして、より楽に早く走れるようにしました」という。
明確な目標を有していた道産子右腕 抜群の行動力で即アポ
2人の出会いは、伊藤が駒大から苫駒大に再入学した直後のキャンプだった。「プロ野球選手になりたい」、「球速150キロを超えたい」と明確な目標を持っていた右腕は、トレーナーとして参加していた松下氏と連絡先を交換。キャンプが終了してすぐに「早速ですが…」とLINEを送り、ウエートトレーニングの見直しをお願いした。抜群の行動力を発揮し、松下氏を「LINEを交換したいと言ってくる子は多いんですが、大海よりも早く交換してすぐに来た子はいない」と驚かせた。
話し合いながらメニューを作成 こだわりは「量より質」
このオフは球速向上のため、体重を増量した伊藤が「走りをどうにかしたい」と要望。2人で話し合いを重ね、練習メニューを作成した。「彼と接する時は教えるというより、話し合いながらやる。全部トレーナーにお願いしますではなく、ここだけ緩めてくださいとか。丸投げしないのがポイントです。大学の時もそうでしたけど、プロにいっても継続しているんだなと感じました」
自ら考え、行動できるのが伊藤の魅力。いかに効率よく練習をして、結果を残すのか。プロ1年目から先発の柱を担う道産子右腕は、「量より質」にこだわった〝雲隠れトレーニング〟を行っていた。