高校野球
2023/05/07 15:00

市立函館が五回コールドで白星一番乗り 同校初の女子部員、小松雫がノック補助《春季大会》

市立函館初の女子部員、小松雫(左、1年)とマネジャーの小滝聖菜さん(中央、3年)と唐崎朱里さん(1年)の3人が、道内第1号として試合前ノックで補助を行った

■春季全道高校野球函館支部(7日、函館オーシャンスタジアム)
▽1回戦 市立函館16-0八雲(五回コールドゲーム)

 道内の高校野球にもいよいよ球春が到来した。5月7日、全道10支部のトップを切って、函館支部と空知支部が開幕。道高野連では、今春から女子部員、マネジャーによる公式戦前のノックに補助員としての参加が解禁。第1試合では、市立函館初の女性部員・小松雫(1年)ら3人が試合前ノックに補助として参加。チームも五回コールドで春4年ぶりの勝利と勢いに乗り、9日の2回戦で函館商業に挑む。

 市立函館が道内公式戦〝春一番〟を吹かせた。山崎祐介監督(45)は「たまたま試合日が重なっただけで、意識していたわけではないです。まず1つ勝って良かった」と胸をなで下ろした。3月まで務めた前任校を相手に転任初勝利。「参加校も少なくなって(対戦が)ないこともないなと思っていた。意識はなく、とにかくいい試合をしたかった」と目の前の試合に集中した。

「初めて硬式のグラウンドに入って緊張した」

 同校初の女子部員と2人のマネジャーが勝利をアシストした。試合前、小松とマネジャーの小滝聖菜さん(3年)、唐崎朱里さん(1年)がノックを手伝った。1週間前に届いた選手と同じユニホームを着て、一塁脇でノックの補助を務めた小松は「初めて硬式のグラウンドに入って緊張した。すごい新鮮で、とっても嬉しい。まず1勝できて良かった」と声を弾ませた。ホーム付近でボール継ぎを担当した小滝マネは「チームに協力しているって感じた」。外野ノックを補助した唐崎マネは「マネジャーとしてお手伝いできて嬉しい」と、勝利の女神となって縁の下でチームを支えた。

小学1年から内野手としてプレー

 同校初の女子部員となった小松は、野球をやっていた4つ上の兄の影響で、函館北昭和小1年から昭和レンジャーズで内野手としてプレー。亀田中では「男子しかいないので」と女子バスケットボール部に入部したが、1年後にやっぱり野球がやりたいと女子のクラブチーム・函館ドルフィンズに加入した。

 高校入学当初は、女子野球に専念するつもりだった。ところが、部活を見学して「いいなあ」と思った。さらに、クラスで自己紹介をする際、野球をやっていることを話したところ、担任でもある山崎監督から「どうだ? 一緒にやらないか」とオファーを受け「挑戦してみたい」と快諾。マネジャーではなく、初の女子部員として高校野球生活をスタートさせた。

山崎監督「将来的に公式戦出場への道が広がってくれれば」

 実際はまだ入ったばかりで、ノックのボール継ぎや部員が飲むプロテイン作りなどマネジャー的業務がメーン。山崎監督は「僕も手探りなところもあって、どこまで彼女ができるのか制度的なものも含めて。ただ、部員登録をしている以上は、例えば練習試合に出てもらったりとか、将来的に公式戦出場への道が広がってくれれば。小学校でも中学校でも女子はいます。そういうふうになればいい。2人顧問がいるので、つけないときとかにチームの力になってくれれば理想かな」。小松も時間を見てノックの練習にも取り組み始め「うまくなって、チームに貢献できたら」と意欲を見せる。

エース北島「一緒に練習したら、いい刺激になる」

 昨秋からエースを務める北島旭陽投手(3年)らナインも小松の入部を歓迎だ。「まだ試合に出たりとか、練習を一緒にしたりとかはないけど、今後、一緒に練習していく形になるんだったら選手にもいい刺激になる。彼女自身も頑張ってほしい」。部員は小松を含め21人。「人数が多いチームじゃないんで、そういうところでサポートしてくれる人が居るのは、すごいありがたい」と感謝する。

 昨夏は支部代表決定戦で函大柏稜にサヨナラ負け。昨秋は支部1回戦で函大有斗に2-3と粘りを見せるなど、初の全道大会出場がおぼろげながら見え始めている。北島投手は「まずは夏のシードをとるためにベスト4に進出することと、先を見ずに1戦1戦勝っていく」。チーム一丸となって、春の陣を戦い抜く。

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