加藤豪 約2カ月ぶり実戦復帰「野球ができて幸せ」離脱中は1軍戦見て〝猛勉強〟
■イースタン・リーグ7回戦 DeNA1-0日本ハム(5月9日、鎌ケ谷スタジアム)
右脇腹肉離れ癒え日本での公式戦デビュー
待ちに待った〝デビュー〟だ。右脇腹肉離れで離脱していた日本ハムの加藤豪将内野手(28)が9日、2軍DeNA戦(鎌ケ谷)に「6番・二塁」で先発し、約2カ月ぶりに実戦復帰した。昨季まで米国でプレーし、今季ドラフト3位で入団した逆輸入ルーキーにとって、これが日本での公式戦初出場。2打席に立ち安打は出なかったが、守備でも軽快な動きを見せ、予定通り五回でベンチに退いた。
「2カ月ちょっと試合に出られなくて、打撃や守備ができない期間は人生で一番長かった。なので、きょうは内容がどうとか感覚がどうとかではなく、野球ができて幸せっていうことだけです」
2打席無安打も豪快フルスイング「トレーナー、ドクターに感謝」
感謝の思いを胸に、打席に立った。二回の第1打席は右中間深くへの中飛、第2打席は右飛に終わったが、患部の不安を感じさせない豪快なフルスイングを披露。「やるんだったら、(けがを恐れず)普通のプレーをしようと決めていました。普通のプレーをしなかったら、トレーナーの努力やドクターの判断を信じていないことになる。トレーナー、ドクターにすごく感謝していますし、信じていた。きょうは本当にそういうありがたみを感じて、打席に入りました」と笑顔で汗を拭った。
趣味はバッティングと言うほど、野球に人生を捧げている。試合に出られない期間も、野球のことだけを考えていた。そんな加藤豪が、離脱中だからこそできることを見つけ、けがをプラスに変えようと取り組んでいたことがある。
「どうやったら活躍できるか…」リハビリ中も”野球漬け”の日々
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「2つチームがあるような感じ」日米の野球の違いを研究
それは、入団会見で米国の野球とは「別のスポーツ」と話していた日本野球の猛勉強。リハビリ中は1軍の試合を毎日のように映像でチェックした。「ここまで1軍の30試合ぐらいを見ました。オープン戦とは全然違う野球をしている。12球団の中でも日本ハムは全然違うプレースタイルだし、アメリカと日本も全然違う。疲れますね。汗をかきながら見ています」と笑いつつ、「一歩下がって、こういう感じなんだと知ることができた。自分がどうやったら1軍に上がる機会がもらえて、どうやったら活躍できるかを想像しながら試合を見ることができた」と収穫は十分。さらに、今後行われる交流戦も見据え「セ・リーグも勉強しないといけないですね」と意欲的だ。
日米の違いで特に印象に残ったこととして、ベンチ入り人数の差を挙げた。「日本はベンチに入る選手がめちゃくちゃ多い。アメリカならキャッチャーは1人で他の野手が3人。でもファイターズは7人くらいいて、2つチームがあるような感じ。そうすると、例えばメンディ(アルカンタラ)がスタメンでサードをやって、その後に水野、奈良間がサードに入って、1試合でサードを3人が守ることもある。これは日本のルールだからできること、というのが分かりました」。
けが人多数のチーム状況「加藤豪将のプレースタイルは求められたことをやるスタイル」
ベンチ入りの人数が変われば戦術が変わり、求められる役割も変わる。「今はいっぱいけが人がいますし、僕はいろんな役割ができる選手で、それを求められていると思う。加藤豪将のプレースタイルは求められたことをやるスタイル。今は木田さん(2軍監督)から、やれと言われたことをやるだけ。多分、こんなにけが人がいない状況なら、もっとパワーをつけたいとかわがままを言えますけど、今の状況を見ていると、自分のストロングポイントでもあるユーティリティーさが求められる。ユーティリティープレーヤーというと、いろんなポジションができるっていう意味ですけど、僕はそれよりも深く、ベンチプレーヤーもできるし、打席の中でいろいろなことができるユーティリティーバッターもできる」。現在のチーム状況を理解し、勝利に貢献する方法を思い描いた。
長期離脱で不安視される試合勘についても、米国時代を引き合いに出し「マイナーでもメジャーでも毎日スタメンで出ているわけではなかった。そういうエクスぺリエンス(経験)がある。『試合に出なくても試合勘をキープする能力』が僕以上にある人はいないと思う」と自信をのぞかせた。次回は12日の2軍ロッテ戦(鎌ケ谷)に出場予定。1軍昇格の時期については「フロントが決めること」と意に介さず「自分は選手としての仕事をするだけ」と前を向いた。不安はもうない。あとはグラウンドで、準備してきたことの成果を見せるだけだ。