攻守の切り替えをしっかりやれば自分たちの流れでゲーム運びができる《河合CRC竜の眼》
3連勝を目指していたゴールデンウイークの連戦は2勝1敗
ゴールデンウイーク期間中の3連戦を、北海道コンサドーレ札幌は2勝1敗という成績で終えた。もちろん全勝できれば一番良かったが、3試合で勝ち点6を取れたというのは大きいし、ポジティブにとらえていい。1敗は鹿島の堅い守備に屈したものであるが、そういうチームを崩せるようなチームになってほしい。
FC東京戦の攻守の切り替えは非常に良かった
3連戦の最後となったホームFC東京戦(5月6日、5〇1)は、早い時間にゴールが奪えたことで試合展開を楽に運ぶことができた。5得点を奪ったゴールシーンも目立ったが、何よりも攻守の切り替えの部分が非常に良かった。
MF浅野のファーストタッチはかつてのFW内村を思い出させた
前半8分にMF浅野が先制ゴールを決めたシーンはショートカウンターからのもので、中盤でしっかりプレスバックができていた中で、DF岡村や浅野、FW小柏が相手を囲んでボールを引っかけることができて、非常にいい守備だった。浅野への小柏のパスは少し強いかなと思ったが、ボールスピードを殺さずにファーストタッチができる、すばらしいトラップを見せてくれるあたり、浅野の好調さがうかがえる。あのトラップを見た瞬間、かつて札幌で共にプレーしたFW内村圭宏が、J1昇格を決めた2011年12月3日のホームFC東京戦(2〇1)で、2得点目を決めた際に見せた見事なトラップを思い出した。
FW菅のインステップを振り抜いたゴールは能力の高さの証明
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前半28分にはFW菅が追加点。この直前の場面でハーフウエーライン付近で繰り返していた横パスも、相手の目線を変える意味で良かったし、DF田中駿が出した縦パスにしっかり反応した小柏のスピードも際立っていた。小柏からのパススピードが少し速く、インサイドで合わせるか、ワントラップしてシュートを撃つのが定石の場面で、菅はインステップで振り抜いてゴールを決めた。菅の能力の高さ、FWとしての嗅覚が出ていた場面だった。
前半38分にはMF金子がPKで追加点。PKにつながるファウルを得た場面は、DF福森のインターセプトからの持ち上がりが全てで、あそこでペナルティーエリア内に進入していった際の動きはすばらしかった。この試合では福森や田中駿ら左右のCBも積極的にビルドアップから関わっていたし、プレスの部分でも非常にいい働きをしていた。
4点目は直前にセカンドボールを拾えたことが大きい
後半5分の菅の2得点目は、非常に良い連係だった。小柏からボールを受けてワンタッチでつないだMF宮澤のセンスも光ったし、そのパスを受けたMF駒井もよく左を見ていた。菅も利き足ではない右足で流し込んで、きれいな崩しだった。このシーンで一番注目したいのは、直前に相手のクリアのセカンドボールを自分たちが回収できたところ。ボール保持者へのファーストディフェンダーがしっかり行けているので、田中駿がヘディングでボールを回収できて小柏につなぐことができた。攻撃に厚みをもたせるためには、ファーストディフェンスにしっかり行くことが大事だと改めて感じることができた。
ダメ押しとなった後半アディショナルタイムの金子のゴール。彼のキックフェイントは本当に分からないので、DFはあの場面では止まることができない。一度スピードを緩めてエサをまいた感じで、金子の能力の高さを見ることができた。浅野もそうだが、金子も調子が良いと感じさせてくれるプレーだった。
攻撃の調子は良いが 自分たちで減らせる失点は減らさなければならない
12試合を終えて総得点は25。リーグ2位タイの数字であり、攻撃面の調子は非常に良いが、総失点もリーグワースト3位の22。やむを得ない失点は仕方ないが、隙を突かれての失点やミスでの失点など自分たちで減らせる失点はやはり減らしていかなければならない。FC東京戦のように攻守の切り替えをしっかりやっていけば、自分たちの流れでゲームを運ぶことができる。まずは奪われた瞬間、その選手がファーストディフェンダーとして強度高くプレッシャーに行くことが重要だ。
5月13日には湘南戦(レモンS)がある。守備強度が高いチームという印象があるので、FC東京戦のようにコンビネーションを見せていってほしい。札幌が上位に行くためには、下位にいるチームには取りこぼさず、連勝していくことは必須だ。
(コンサドーレ・リレーションズチーム・キャプテン)