斎藤綱 移籍後初登板で初勝利 1軍に飢えた男が大仕事
■パ・リーグ7回戦 日本ハム6ー3ソフトバンク(5月10日、ペイペイドーム)
相手に傾きかけた流れをピシャリ 五回1死二塁で無失点継投
昨オフにトレードで加入した日本ハムの斎藤綱記投手(26)が10日、ペイペイドームで行われたソフトバンク戦に移籍後初登板し、初勝利を飾った。1点ビハインドの五回1死二塁で救援し、打者2人をピシャリ。六回に味方打線が逆転し、貴重な白星が転がり込んできた。
強気の投球に終始 好打者2人を打たせて取った
リスペクトする宮西に似たスリークオーター気味のフォーム。最大の武器も同じスライダー。しびれる場面で登板を告げられた斎藤綱は、気持ちを高ぶらせていた。「最初の印象が大事だと思うんで、ゾーン内で勝負というか、強気でできるというところを見せたかった」。直球、シュートを織り交ぜながら、大胆にストライクゾーンで攻めた。左打者の中村晃、川瀬をスライダーで仕留め「次の1点は絶対あげたくないと思ってたので、良かった」と静かに喜びをかみしめた。
新庄監督も最大賛辞 「宮西くんが2人いるような感じ」
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火消しに成功した新戦力左腕に対し、新庄監督は「宮西くんが2人いるような感じ」と称賛。続けて「目標にする選手が同じチームにいると目の前で見られる。1勝を取れたというのはかなり自信になると思う」と期待を込めた。ただ、あこがれの先輩に例えられた斎藤綱は「ちょっとさすがにそれは…。本当にまだまだ足元すら及んでないので、少しでも近づけるようには頑張りたい」と恐縮しきりだった。
プロ9年目の道産子左腕 オリックス時代を知る伏見「誰よりも貪欲」
札幌出身で北照高からオリックスに入団。もともと上手投げだったが、2017年秋、サイドスロー転向を機に2軍で無双するようになった。2018、19年は防御率1点台前半をマーク。20年は13試合に投げて0・00で、21年は1・48、22年は2・41。抜群の安定感を見せつけていた。
それでも1軍には壁があった。投手の層が厚いオリックスでは、チャンスが限られる。昇格しても定着できず、2軍に逆戻りしていた。
オリックス時代からバッテリーを組んでいた伏見は、クールに見える斎藤綱の熱い一面に触れていた。「2軍では完璧な投球をずっとしていた。あとは1軍で使われるか、使われないか。なかなか1軍で結果が出なくて歯がゆい思いをしていた。誰よりも貪欲で、1軍のマウンドに飢えていた」と明かした。
ここからブレークだ! 「勝っている場面で投げさせてもらえるように」
この日、ため込んだ悔しさをぶつけるように結果を残し、通算2勝目をゲットした斎藤綱。もちろん、これで満足はしていない。「勝っている場面で投げさせてもらえるように頑張りたい」。プロ9年目の春。縁あって地元球団の一員になった道産子左腕は、鮮烈にブレークのきっかけをつかんだ。