ファイターズ
2021/10/17 14:50

”感謝の10年”栗山監督が退任発表 長期政権に終止符

練習前、選手、コーチ、スタッフを集め、涙をこらえながら挨拶をする栗山監督(撮影・桜田史宏)

■日本ハム1ー1オリックス(16日、札幌ドーム)

 長期政権にピリオドが打たれた―。日本ハムは16日、就任10年目の栗山英樹監督(60)が今季限りで退任することを発表した。今季はこのまま最後まで指揮を執り、シーズンが終了した後に退任会見を行う。発表後に行われた首位・オリックスとの試合では、指揮官の育てたチルドレンが奮起し、防御率1.46を誇る先発・山本由伸投手(23)から1点をもぎ取ったが、八回に追いつかれて1―1で引き分けた。

涙のメッセージ「きょうから来年は始まっている、しっかりやれ」

 試合開始直前の13時45分、球団から栗山監督の退任が発表された。10年に及ぶ長期政権にピリオドを打つ。
 連続しての在任10年は球団史上最長。監督通算勝利数の「678」も球団歴代最多の数字だ。チームを2度のリーグ優勝に導き、2016年には日本一にも輝いた。成績のみならず、大谷(エンゼルス)の二刀流起用など、常識にとらわれない自由な発想で何度も野球ファンを驚かせてきた。
 この日のオリックス戦後、取材に応じた栗山監督は「まだ試合があるので、選手のために全力を尽くして、その後にしっかり話をさせてもらいます。こういう状況になっていることに関しては、すごく責任を感じていますし、ただ、こうやってファイターズのユニホームを着させていただいたのは感謝しています」と話した。
 練習前には、選手やスタッフらを球場の中堅付近に集め、退任する旨を直接伝えた。いろんな思いが去来したのだろう。目にあふれんばかりの涙をためながら、熱い言葉を発した。今季低迷したことを謝罪し、「きょうから来年は始まっている、しっかりやれ」とメッセージを送った。指揮官らしく、最後まで選手の背中を押し続ける。
 集大成として今季に臨んだ。川村球団社長は、退任は成績が理由ではないとした上で「選手、ファン、北海道に対して深い愛を注いでいただいた。チームに輝かしい1ページを記してくれた監督に、心より感謝しております」と話した。吉村GMも「選手のため、というのは貫かれた。全くぶれることなく。それはなかなか難しいこと」と敬意を表した。
 10試合を残したタイミングで発表したのも指揮官を思いやってのことだ。「ぜひとも背番号80の姿をファンの方々にも見ていただきたい」と川村球団社長。札幌ドームでの残り2試合で、多大な功績を残した栗山監督へ、花道を用意した。
 後任の監督人事は水面下で動きだしている。球団の大きな指針である「スカウティングと育成」を実践でき、そして、栗山監督のように選手のことを第一に考えられるような人物を模索していく。(十島功)

栗山チルドレン奮起!執念のオリ・由伸攻略

 スーパーエースに真っ向から立ち向かった。2012年の就任直後から若手を積極起用してきた栗山監督。そこから主力に成り上がった「栗山チルドレン」が突破口を開き、14連勝中のオリックス・山本から先制点を奪った。
 0―0で迎えた六回、先頭の西川が左前打で出塁すると、1死後に近藤が右前打でチャンスを拡大。R・ロドリゲスの適時打を呼び込んだ。
 八回に代走で出場し、二盗を決めた中島も栗山政権下で台頭した選手の1人だ。指揮官も3人への信頼は厚かった。「コンちゃん(近藤)とか遥輝(西川)、卓(中島)、この辺とかは自分で自分のことができるだろ。自分で考えてやれる人たち」。今季の結果には、中心選手としての責任も感じているはず。彼らがチームをけん引し、栗山監督に一つでも多くの白星を贈る。

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