加藤貴 ほぼ〝カドックス〟の102球完封 新庄監督「一瞬で終わった感じ」
■パ・リーグ7回戦 ロッテ0ー5日本ハム(5月13日、エスコンフィールド北海道)
納得の無四球102球 ラスト九回はわずか7球
ほぼ〝カドックス〟だ。日本ハムの加藤貴之投手(30)が13日、エスコンフィールド北海道で行われたロッテ戦に先発し、無四球の散発4安打で今季チーム初の完封勝利を飾った。球数は102。100球未満での完封を意味する「マダックス」はならなかったが「(伏見)寅威さんの要求通り投げようと思っていましたし、野手の皆さんに助けられた。ブルペンの皆さんも疲れていると思うし、9回を投げられて良かった」と充実感をにじませた。
九回のマウンドに向かうと、自然に拍手が起きた。2球で2死までこぎつけ、97球。偉業の期待も膨らんだが、最後の打者に5球を要して102球でフィニッシュした。クールに投げ続けた男は、勝利の瞬間に表情を緩め、仲間とハイタッチして喜びを分かち合った。
続投志願で見事にシャットアウト 新庄監督「一瞬で終わった感じですね」
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ストライクゾーンを果敢に攻めた。随所で3球勝負を選択。二塁を踏ませないまま、スコアボードに「0」を並べた。七回終了後、建山投手コーチに交代を打診されたが、首を縦には振らなかった。続投を志願。過去2度の先発は7回で降板し「体は元気だったし、前回、前々回とふがいないピッチングが続いていた。ブルペンに迷惑をかけているというのもあったので、そこも含めて投げきりたいなと思いました」と覚悟を秘めていた。
ベンチはその熱意に動かされた。継投策を取りやめ、全てを託した新庄監督は試合後に「いきたいという強い意志を持っていた。本人のやる気が一番。一瞬で終わった感じですね」と目を細めた。建山投手コーチも「何も文句をつけられない」と手放しで褒めた。
入念に準備し本番マウンドへ 開幕投手がチームを勢いづけた
この日は、戦隊ヒーローをモチーフにした新庄監督デザインの限定赤黒ユニホームを着用したが、デリケートな投球動作に支障がないか、加藤貴は事前にチェックしていた。チームの福岡遠征に帯同せず、本拠地で調整していた11日。同じく居残り組だった上沢の発案で、新ユニホームに着替え、ブルペン入りした。ポイントは襟。投球モーションに入ると、首元が多少、気になった。本番前に知っておくことで戸惑いが消え「あまりない感覚で、徐々に慣れてきた。練習しておいて良かった」と準備が実った。
昨年4月19日の楽天戦(楽天生命)で90球完封勝ちを収め、指揮官から「カドックス」の称号を得た。この時に勝るとも劣らない快投を披露。開幕投手も担った背番号14が、上位進撃を目指すチームに勢いをつけた。