田中瑛 7カ月ぶり復帰戦でいきなり150キロ「意外と出力が上がっているかも」
■イースタン・リーグ8回戦 ロッテ5ー0日本ハム(5月14日、鎌ケ谷スタジアム)
華麗なる復帰登板 2Kの3者凡退&150キロ計測
復活の150キロだ。右肩痛で戦列を離れていた日本ハムの田中瑛斗投手(23)が14日、2軍ロッテ戦(鎌ケ谷)で約7カ月ぶりに実戦復帰。四回から2番手で登板し、1回を2奪三振で3者凡退に抑えた。
2死からアポステルに投じた5球目は、この日最速の150キロを計測。「びっくりしました。練習やブルペンでは一回も出なかったので。勝手にアドレナリンが出たのかな。(けがをする)前の自分だったら、150キロは出ていない力感だった。意外と出力が上がっているかもしれない」とリハビリの成果を実感していた。
手応えも十分 「一番良い結果。全体的にまとまっていました」
ようやくたどり着いた今季初登板で、不安を吹き飛ばした。まずは先頭の菅野をチェンジアップで空振り三振に仕留め、続く松川は初球のスライダーを打たせて右飛。最後はアポステルから、同じくスライダーで空振り三振を奪った。「一番良い結果。全体的にまとまっていました。ここまで長かった。やっとって感じです。きょうぐらいのピッチングが継続してできたら、めっちゃいい」と手応え十分の内容だった。
支配下勝ち取りプロ初勝利を飾った昨季 代償は大きかった
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昨年10月ごろから、右肩に違和感を抱えていた。症状は徐々に悪化し、2月の春季キャンプ前には「ドアを開けるのも痛かった」と、マウンドに立てる状態ではなくなっていた。昨季は育成選手として開幕を迎え、7月に支配下昇格。プロ初勝利も挙げたが「去年1年けがなしで、登板を飛ばさず投げましたけど、ちょっと体が痛かったりアクシデントはあった。それでも3桁の番号だったので、今しかないと思って投げた。これでダメでもしょうがないって」と背水の覚悟で投げ続け、体には大きな負荷がかかっていた。
試行錯誤のリハビリ 連日のウエートトレで回復
リハビリ当初は体の内側を鍛え、肩の負担を減らす方針だったが、「治すためにインナーとか体幹を意識していろんなことやったんですけど、あんまり良くならなくて」と思うように進まなかった。そこで、内側ではなく外側のアウターマッスルを増やし、筋肉の鎧(よろい)をつくって肩を守る方針に転換。「肩がぐらつかないように、がちっと固めるイメージ」で、部位を変えながら毎日のようにウエートトレーニングに励むと、回復のペースが上がった。
肉体改造にも成功 「最近は頭で自分の体が分かってきた」
2月時点で80キロだった体重も、現在は85キロまで増量。「20歳になる前は、どんだけ食っても増えない感じでしたけど、最近は頭で自分の体が分かってきて、このぐらい食べたらこのぐらいのペースで増えていくなって分かってきた。食事で足りない分はプロテインとかサプリで補って、補食系も入れたら1日6食くらい食べています。それでも、5キロ増えた分の4キロぐらいは筋量です」と肉体改造に成功した。
理想とする「じゃんけんぽん投法」 見据えるのは1軍マウンド
1軍での活躍を見据え、目指すは「じゃんけんぽん投法」だ。自身の持ち球を直球、カットボール、シュートの〝真っすぐ系〟、スライダー、カーブの〝曲がり系〟、フォーク、チェンジアップの〝落ちる系〟と3つに分類し、「それぞれの割合を均等にして、じゃんけんのように何が来るか分からない状態をつくりたい」と相手に的を絞らせない投球を理想に掲げる。この日は「真っすぐの割合はいつでも増やせる」と、あえて直球を2球に抑え、変化球を多投。一流の打者たちを抑えるイメージを膨らませた。
雨に感謝の母の日登板 降板後には母からねぎらいの連絡
登板予定だった前日13日が雨天中止となり、復帰戦が母の日と重なった。右腕は毎年、誕生日と母の日には欠かさず贈りものをしている。今年はリクエストに応え、高級美顔器を14日着で届けた。いつも応援してくれている母からは、この日の降板後すぐに「良かったね」と連絡が届いた。孝行息子の快投が、何よりのプレゼントになったはずだ。
新球場での登板へ調整加速 「家族に1軍で投げるところを見せたい」
今後は患部の状態を確認しつつ、次回登板に向かう。「早くエスコンで投げたい。家族に1軍で投げているところを見せたいですね」と意気込んだ。シーズンはまだ序盤。完全復活を果たし、1日も早く新球場のマウンドに上がってみせる。