札幌大谷4年ぶり春全道! 右肘靱帯損傷から復活のエース田代が好リリーフ 東海大札幌高に逆転勝ち
■春季全道高校野球札幌支部(16日、札幌円山)
▽Aブロック代表決定戦 札幌大谷5―3東海大札幌高
七回から登板、3回1安打無失点
エースが初の全道のマウンドへ。札幌大谷が東海大札幌高に5―3で競り勝ち、4年ぶり4度目の春季全道大会進出を決めた。背番号1の田代直也(3年)が1点ビハインドの七回から登板。3回1安打無失点と好投し、逆転勝利を引き寄せた。自身初となる全道大会登板へ「全道に行くと相手は強いチームになるので、みんなでしっかり勝って、自分はチームを引っ張っていけるように頑張りたい」と意気込んだ。
スライダーとカーブで幻惑
劣勢の流れを一変させた。七回、先発の菊地大一(だいち、2年)からバトンを受けた。試合をひっくり返すためにも「もうこれ以上点数をやれなかったので、絶対にゼロで」と強い気持ちを持ってマウンドへ向かった。130キロ中盤の直球とスライダー、カーブのコンビネーションが効果的だった。特に船尾隆広監督(51)が「あまり見ないような軌道。高校生では簡単に打てない」と評するスライダーとカーブで相手打線を幻惑した。
七回を3人で仕留めると、直後の八回に打線が追いつくことに成功。続く八回も飛球3つに打ち取り、流れは完全に札幌大谷へ傾いた。九回、佐々木涼斗主将(3年)の適時打などで2点勝ち越し。最後も田代が危なげなく試合を締め、久しぶりに春の全道進出を果たした。試合後、田代は「最初はちょっと緊張したんですけど、打たせて取ることはできた。その流れに乗っていけたので、勝ちにつながったのかなと思います」と安堵の表情を見せた。
1年春からベンチ入りも秋に靱帯損傷
最終学年、その右腕に全てを懸ける。1年春からベンチ入りするなど、期待の高かった田代だが、同年秋に右肘靱帯を損傷し、保存療法で治療に専念した。翌年の夏から投球を始めたが、秋季大会で登板した際に痛みが再発。もどかしさを感じながらも、ウエートトレーニングなど、自分のできることに集中した。
甲子園はアルプス応援「悔しさが一番強かった」
その効果もあり、オフの間に体重は72キロから77キロまで増え、今年1月から投球を再開すると、ブルペン投球で自身最速の141キロを記録するなど、球の勢いは確実に増した。昨夏はアルプスから甲子園出場を眺め「悔しさが一番強かった」。ここまで我慢を強いられた分、最後の年に全てを発散する。心身共にタフさの増したエースは、誰よりも投げる喜びをかみしめているはずだ。