《岩本勉のガン流F論》谷内は、ベンチにいながら試合の中に立っている選手
■パ・リーグ9回戦 西武2ー6日本ハム(5月18日、エスコンフィールド北海道)
カウント2ー1からの空振り 試合を決めにきていた谷内
谷内の集中力が勝利をたぐり寄せた。2―2の七回2死満塁。途中出場の谷内がこの試合初打席に立った。そこで見事に決勝打。縁の下の力持ち、または守備固めの選手という印象が強い。ただ、この日ばかりは完全に決めにいっていた。
カウント2―1とボール先行となった時点で私は、2ストライクまでじっくりと待ち、そこから粘りの勝負に出ると予想していた。だが、違った。4球目を空振り。そこには、決めにきている谷内がいた。
強い気持ちと思い切った踏み込み
最後は6球目の真ん中直球をセンター前にはじき返した。強い気持ちと思い切った踏み込みで、バットの芯よりやや内側に当たったが、強烈な打球を運んだ。
なぜ守備でも攻撃でも勝負強さを発揮できるのか それは…
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守備で、バットで、ここ一番で勝負強さを発揮できる谷内。いつも、ベンチにいながら試合の中に立っている。だからこそ、守りでも最初のプレーで、事を起こせるのだ。この日も伊藤の粘り、激しいレギュラー争いの中にいる伏見の必死さを感じていたことだろう。その思いもバットに乗せた。
お立ち台での一言も魅力たっぷり 勝利最優先の男だからこその言葉
ヒーローインタビューでの一言も、魅力にあふれていた。自分に代わってベンチに退いた野村に対し、エールを送った。誰もがライバルのプロ野球の世界。なかなか、発することができる言葉ではない。
野村が〝強化指定選手〟であり、彼の成長が優勝には欠かせないと知った上でのコメントだろう。チームの勝利を最優先にしている男だからこその言葉だった。
よく粘った先発の伊藤 エスコン初勝利でさらに勢いづく
勝利投手となった伊藤もよく粘った。再三ランナーを抱えながらも2失点にとどめた。昨季よりも、強くレベルアップしている。新本拠地で挙げた1勝には価値がある。勢いに乗っていけるはずだ。