谷内 途中出場でV打 お立ち台で失意の野村にエール
■パ・リーグ9回戦 西武2ー6日本ハム(5月18日、エスコンフィールド北海道)
同点の七回2死満塁で中前タイムリー 喜びよりも後輩への気遣い
日本ハムの谷内亮太内野手(32)が18日、エスコンフィールド北海道で行われた西武戦で値千金の一打を放った。守備で精彩を欠いた野村佑希内野手(22)に代わって急きょ途中出場し、同点の七回2死満塁で中前適時打。絶好機で勝負強さを発揮し「スタメンでずっと打てなかったけど、開き直っていったのが良い結果につながったと思う」と表情を緩めた。
新球場で初めてお立ち台に上がった。連勝で3カードぶりの勝ち越し。普段なら喜びに浸る時間だが、悔しさにうちひしがれる後輩を気にかけていた。ヒーローインタビューの締めくくりに「今日はこういう形で僕が代わっちゃいましたけど、次は野村がいいところで打ってくれると思うので、そちらの応援もお願いします」とファンに呼びかけた。
ベテラン守備職人だからこそ理解できるつらさ 野村の成長に期待
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試合終盤。体は動かしていたが、出番は不意に訪れた。七回、長谷川の高く弾んだゴロに対して、スタメン三塁手の野村はチャージせず、下がって捕球。送球がワンテンポ遅れ、内野安打となった。記録に表れない判断ミスだった。 新庄監督は毅然(きぜん)と交代を決断した。次打者の四球で一、二塁となったところで野村をベンチに下げ、谷内を送り出した。「気持ちが引き気味の守備。あれがちょっと。もっと前に来てほしいなというところで代えた。もう一回打席が回ってくるのは分かっていた」。消極的なプレーは許さない―。ファイターズの核となる選手だからこそ、奮起を促した。
プロ11年目の谷内は守備に心血を注ぎ、生きる道を切り開いてきた。緊迫した場面の守備固めも数多く経験し、ミスの怖さを熟知している。野村のつらい気持ちは、痛いほど分かった。レギュラーを争うライバルの一人だとしても、何か手助けしたかった。プロの守備は一朝一夕で身につくものではなく「天然芝になって難しいところもある。誰もが完璧に守れるわけではない。良いことも悪いことも次につなげながらやってほしい」と願いを込めた。
チームのために粉骨砕身 屋台骨を支える32歳
今は経験の浅いメンバーが多い。だからこそ、プレー以外にも、ベテランの役目があると考えている。「野村は主力を張っている選手で、しっかりしないといけないけど、まだ高卒5年目。一人で背負い込まなくてもいいと思う。本人は得点圏で打てていないとか、守備がどうとか、気にしているけど、もっと伸び伸びやってくれたらいい。僕たち上の層がもっとそういう雰囲気をつくっていければ」
谷内はいつも若手のお手本となり、チームのために尽くす。自己犠牲をいとわない縁の下の力持ちが、屋台骨を支えている。