《人ほっとコーナー》札幌大通地下ギャラリーで作品を展示する画家・富樫幹さん(41)
多様な作風で野外イベントではライブペイントも
型に囚われることなく、自由気ままに描いていく―。札幌市出身の画家・富樫幹さん(41)は平面画を中心に制作活動に励んでいる。「RISING SUN ROCKFESTIVAL」や「TOBIU CAMP」などの野外イベントではライブペイントも行う。抽象画や風景画、人物画と作風は多様。4月29日からは札幌大通地下ギャラリー「500m美術館」で「The WALL vol.4 富樫幹展―平行する時間軸―」が展覧されている。
圧巻のライブペイントだった。2013年の「TOBIU CAMP」ではダンサーの東海林靖志さん(40)と即興描写を展開。「あのときはすごかったです。東海林の動きが冴え渡っていて、途中からは〝ダンスアートハイ〟になってました」。時間にして6時間。全身黒塗りの東海林さんが踊り続け、その動く〝黒い物体〟を富樫さんは壁面に模写。気付けば、日も暮れていた。「暗くなってからのことを前提として作っていた。夜になって、黒塗りの人に照明を当てたら、それが影になって(壁に)投影される」と説明した。
「500m美術館」の作品は今年4月22日から28日までの1週間で描き上げた。毎日午前10時から午後5時まで、通行人が行き交う中での制作は、一種のライブペイントだった。「結構、あっという間に終わっちゃうんですよね。(午後)4時ぐらいから人が増えることに気付きました。興味津々に見てくれる方もいました」とニッコリ。コンセプトは「歩きながら見ているので、1秒目に見ているものと10秒目に見ているものが違う。音楽的に時間を使うことを具体的にしたかった」と、時間の経過とともに作品も〝動く〟ことを形にした。
「一つに絞ることは面白くない」 様々な作風はグラフティや画家だった祖父の影響
祖父が画家だった影響から絵描きの道へと進んだ。「子供のころは割と避けていたんですけど、じいちゃんが残した抽象画の画集を見て、自分が描いてみたいと思ったのがスタートです」。元々音楽が好きでグラフィティなどからも影響を受けたという。そこからは主に独学で、あらゆるジャンルに取り組む現在のスタイルを確立させていった。
「一つに絞ることは面白くない。ダンサーを描いたり、真面目に風景を描いてみたりとか、そういう感じでやっていきたいです」。描くモチベーションは衰え知らず。今日もスケッチブックを持ち歩き、道行く人や風景をデッサンしているはずだ。
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「平行する時間軸」の作品一部分
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■プロフィール 富樫幹(とがし・かん)1982年4月4日、札幌市生まれ。札幌稲西高(現札幌あすかぜ高)、浅井学園大(現北翔大)を卒業。制作内容は主に平面画。また、野外イベントや市街のクラブなどでのライブペイントや、ダンサーの即興描写も行う。2017年から活動拠点を東京に移した。家族構成は妻。